SUVの電気化が進むなか、アウディは頂点に位置する「e-tron(イートロン)」の改良を実施。2023年3月に日本でも「Q8 e-tron」として導入されました。
私は、23年11月に、日本に到着してやっと路上を走り出したQ8 スポーツバックe-tronに試乗することができました。走りとともに、重厚さと作りのよさが、魅力的なモデルです。
■走行距離は最大78km延伸の501km
オリジナルは、2019年に登場したその名も実にシンプルな「e-tron」です。私は導入前の18年にアブダビで試乗した経験があります。余裕あるサイズの車体をバッテリーで駆動して、かつ速い。
全長5mになんなんとするSUV型の車体を、期待を超える速度で疾走させるのだから、これまでにクワトロなどエポックメーキングな技術を導入してきたアウディならでは、と私は感心しました。
一方で、世の電気自動車は、速いペースで開発が進んできました。速すぎて採算がとれない、と悲鳴に近いコメントを出す自動車メーカーすらある始末です。
アウディ自身も、e-tron GTというスポーティなEVクーペや、小型のQ4 e-tronを市場に投入。メルセデス・ベンツやBMWほどの幅はありませんが、着実にラインナップを拡充してきました。
そのなかで、e-tron改めQ8 e-tronは、さらに洗練度を上げています。このクルマが発表された当初、私は、いまQ4 e-tronがあって、このあとQ6 e-tronを予定しているだけに、名前をわかりやすく付け替えただけかなあと思っていました。
私の予想はいい方向に覆されました。
Q8 e-tronは、「SUV」と「スポーツバック」、2つのボディが設定されています。パワーに応じて「50」と「55」があり、スポーツバックは「55」のみ。いずれも、Q8となった時点でバッテリー容量が上がりました。
どうなったかというと、パワーがアップし、走行距離が伸びました。「50」だと従来より24kWh増えて走行距離は89km増しの424km(WLTC)に、「55」は19kWh増しで、78km延伸の501kmの走行距離を獲得しています。
基本設計を変えることはできないので、どうやって今回の容量アップを実現したかというと、バッテリーの設計を改良し、従来より”すきま”をなくしたスタッキング方式でエネルギー密度を上げるのに成功した、とアウディでは説明します。
実際にユーザーになると、走行距離が伸びるのは、おおいに歓迎すべきことです。
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