■準備と片付け、メンテナンスは過去イチ簡単
最初にやるべきことは燃料の取り付けです。
燃料取り付け部分にはマグネットと突起が付いているので、カセットボンベの切り込みと突起を合わせ、グッと押し込みマグネットに密着すれば装着完了。カセットこんろを使ったことがあれば、迷わず取り付けられるでしょう。
容器カバーの上部(丸い穴の上)にマグネットが装備されていて、カバーのツメと本体台座の穴を合わせてそっと閉じるとカチッと合います。古いストーブだと金属音を響かせながら閉じますが、じつにスマート。
つまみをONまで回して点火! 勢いよく回すのではなくゆっくり回します。ガラス窓で点火を確認したあともそのまま5秒ほどONのままにするのがポイント。そうした後に火力を調整します。
本体のガラス窓からガスらしい青い炎がチラリ。
つまみをOFF側にすると弱くなり、ON側にすると強くなる。シンプルな構成です。
OFF側に回していくと“ブブブ…”という音がすることも。これは火力が弱すぎて消える直前に発生する音で、つまみをON側に戻し、火力を少し強めます。
ちなみに、イワタニのアウトドアブランド「FORE WINDS」にはアウトドア専用の「アウトドアヒーター」という名作があります。
「アウトドアヒーター」は丸いリフレクターを装備し、足もとに熱を集中させるのが得意なヒーター。
一方、「マル暖」は上昇気流を生むストーブで、みんなで火を囲みたいときは「マル暖」が有利です。
なお、燃料が同じ「アウトドアヒーター」と「マル暖」をダブル使いで死角をなくしたくなりますが、「アウトドアヒーター」を「マル暖」に向けたり、「マル暖」の熱が届く位置に「アウトドアヒーター」を置くような使い方はダメ、絶対。ボンベが加熱されて爆発恐れがありますよ。
■天板で料理の保温も
対流式の「マル暖」は熱が下から上に立ち上ります。そのためでしょう、発生した熱を無駄なく使えるよう天板はゴトク兼用タイプになっています。
湯を沸かせますが、時間がかかるし気温や風によっては沸騰に到達しないことも。イチから調理をするというよりも料理の保温向きと考えた方がいいでしょう。
とはいえ「なんだ、その程度か」と侮るなかれ。じんわり加熱されるので鍋料理のだしを取る、燗酒やホットワインを作るのに最適で、なんならチーズフォンデュをしてもいいかも。
保温中の料理や酒をこぼしたら、使用後に汚れをきれいに拭い取っておくのはカセットこんろと同じです。
「マル暖」の場合、ビスを3つ取り除けば燃焼筒をまっすぐ上に引き抜けます。ガラス窓付きの燃焼筒を恐る恐る横倒しにしなくてよく、バーナーヘッド部分へのアクセスが簡単なんですね。これ、ちょっとうれしい。
■アウトドアではレイアウトを工夫
「マル暖」は比較的風に強い屋内・屋外兼用ストーブですが、テント内での利用は禁止です。
野外で使うなら背中側にテント、できればストーブの真上になくてもキャノピーを張り出して上方の熱を少しでも反射させるなど工夫が必要です。
テント内で使えないのは残念ですが、最新基準を満たし、アウトドアでも安全に使えるガスストーブはとってもレア。燃料の扱いが簡単で、ランタンやバーナーと燃料を統一できるのも貴重。電気不要で災害時にも頼りになりそう。
暖房器具選びの候補に加えてみてはいかがでしょう。
>> Iwatani「マル暖」
<取材・文/大森弘恵 写真/逢坂聡 撮影協力/岩谷産業>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X
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