すっきりしながらもグラマラス!衰えぬ人気のマツダの新型「ロードスター」の進化した点

■すっきりしながらもグラマラス 幌タイプモデルも

全体の印象は、すっきりしていながら、要所要所でメリハリを効かせたグラマラスな感じのスタイリングが守られていて、フルオープンのロードスターも、電動格納式ハードトップのロードスターRFも、まったく古さを感じさせません。

今回、ファンに喜ばれているのは、もうひとつ。「ロードスターSレザーパッケージVセレクション」(355万3000円~)なるモデルの設定です。初代にあった「Vスペシャル」のようにベージュの幌と同系色の内装を組み合わせた仕様。

ブラックのボディとの組合せが特に人気が高いとか。私が乗ったのは、レッドでした。これもあでやかな雰囲気で、年齢を問わず乗る人をうまく引き立ててくれそうだと思いました。

 

■ラインナップは従来継承。車載コンピュータシステムは刷新

ラインナップは、大きくいって、従来の継承です。ボディは先述のとおり2タイプ。ロードスターには1.5リッター、ロードスターRFには2リッターのエンジン。変速機は、さすがマツダだけあって、6段マニュアルが基本。さきの「Vセレ」などには6段ATの設定もあります。

あいにく、一時期は高値で話題になった軽量「990S」は今回から廃止になってしまいました。

マイナーチェンジの背景には、サイバーセキュリティ法がある、とマツダでは説明します。欧州ではじまり日本でもそれにならったこの規制、車載コンピュータへのハッキングを防止するため、さまざまな対策を求めています。

ロードスターは、発売以来同じコンピュータシステムを使っていたため、ここでシステムを刷新。「同時に、やれることをやってしまおうと」走りの面でも改良に踏み切ったと、開発を担当したマツダ車両開発本部の梅津大輔主席エンジニアは語っています。

 

■“レッドゾーン近くまでエンジンをがんがん回して走れるよう作り込んだ”という走りとは

走りに関しての改善点は、いろいろあります。ひとつは、ステアリングシステムの構造見直し。ステアリングラックの設計を変更して、よりスムーズな操舵感覚を生み出しています。

もうひとつは、「アシンメトリックLSD」なるリア左右輪の駆動力を調整する機構の新採用。そもそもロードスターにはLSD(リミテッドスリップディファレンシャルギア)が装備されていますが、今回は構造を見直して「車両の設置荷重減少により車両挙動が不安定になりやすいターンインでの減速旋回時の安定性を向上」させたと説明されます。

もう少しわかりやすくいうと、特に下りのカーブを曲がるときにより安定した走行が出来るようになった、というのがメリットと説明されています。

一方、もっともベーシックな「ロードスターS」(289万8500円)には、アシンメトリックLSDは搭載されません。1.5リッターエンジンは、国内ハイオクガソリン(100RON前提)に合わせた専用セッティングで、加速の伸び感を強化したと説明されるとおり、ベーシックなモデルとはいえ実に気持ちよく走ります。むしろ、軽快感はかなりなもので、私はコレ欲しい、と思ったほど。

エンジンはよく回り、マニュアルのシフターは短い動きで操作できます。力強い走りが楽しめるのは4000rpmから上というのも、まさにライトウェイト(軽量)スポーツカー。レッドゾーン近くまでエンジンをがんがん回して走れるよう作りこんでいる、とマツダの技術者は言います。

2リッター車も、MT車では駆動力制御に最新の制御ロジックを導入した恩恵で、中間加速領域での加速感が向上していると感じました。私が乗ったのは「ロードスターRF RS」(430万8700円)。MTのみの設定で、ブレンボの高性能ブレーキなどがオプションで選べるモデルです。

減速におけるレスポンスも上がっていて、ドライブしている私とクルマとの一体感が増した印象。しかもサウンドエンハンサーが新しくなり、低い回転域から中低音が聞こえてきます。音もきれいにチューニングされています。従来型より明らかに洗練度が上がっていると感じられました。

ロードスターは、スポーツカーの基本に忠実に作られているので、古くなりません。このさき、排ガス規制がどうなるか。ロードスターの未来に大きな影響を与える規制が厳しくなることは避けられないようです。でもできるだけ長く続いてほしい。そう願わずにはいられない楽しいモデルです。

>> マツダ ロードスター

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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