■耳へのストレスはほとんどなし
中国のハイテクメーカーとして知られるファーウェイから発売される「HUAWEI FreeClip」。一番の注目ポイントは外見で、名前の通り耳にクリップする(挟み込む)形状。本体サイズもとても小さく、片側の重量はわずか約5.6gしかありません。
装着感は耳に軽く挟み込むカフスそのもの。アコースティックボールは耳に収まりますが、密着しないため耳へのストレスはほとんどありません。周囲の音も自然と聞こえます。
装着時に耳に挟み込むのって面倒じゃない? と想像するかもしれませんが、そこもしっかりケア済み。球体部と楕円部を繋ぐ“C-bridge(C-ブリッジ)”と呼ばれるパーツは、高性能な形状記憶合金であるニッケルチタン合金。装着時に広げて耳にハメるのですが、慣れれば柔らかさを活かして片手で耳に差し込むように装着することも可能。
イヤホンに左右の区別はなく、装着時にどちらの耳に装着しているかを自動識別してくれる点もラクですね。片耳だけの利用も可能です。なお、IP54の防塵防水にも対応しています。
タッチ操作も可能です。イヤホン全体が反応する仕様で“C-bridge”部分がタッチしやすくて、操作するのに便利。反応するのはダブルタップ/トリプルタップのみで、誤操作の心配はほぼナシ。再生/停止やスキップなどの操作が可能で、音量の割当はありません。
音楽を再生する球体側=“アコースティックボール”内には約10.8mmのデュアルマグネットダイナミックドライバーを搭載。再生時には逆位相の音波も同時に放出することで、音漏れを低減する設計になっています。
BluetoothコーデックはSBC、AAC、L2HCで、マルチポイント接続にも対応。バッテリー性能は1回の充電で8時間の連続使用が可能。充電ケースを含めると最大36時間再生できます。
では、「HUAWEI FreeClip」はどれだけ周囲の音が聞こえるのかというと…。はい、大前提として装着しても完全に周囲の音がそのまま聞こえて、聞こえ方の変化もほぼナシ。耳がオープンなので当たり前ですね。
音楽を聞きながらの聞こえ方は、音量次第ではありますが、周囲の音に気づかない事はまずないでしょう。
■オープン型とは思えない音質
「HUAWEI FreeClip」の音質もチェックしてきました。サウンドは「HUAWEI AI Life」アプリからカスタマイズ可能で、出荷時の設定は“高域強調”。これは効果が極端なので“デフォルト”に切り替えて試聴しています。
サウンドの特徴は、オープン型とは思えない音に芯があるようなクリアさと、空間が広がる臨場感の両立にあります。
YOASOBI『アイドル』を聴くと、歌声は小音量でもハッキリと聴けるし、高域のキレも優秀。一方、ディープに沈み込む重低音も空間を満たすように再現。メリハリを効かせたサウンドですが、キツさはないし、周囲の音も同時に聞こえるので、これくらいの演出があってちょうどいいですね。個人的には、“ながら聴き”を忘れて音量を思い切り大きくしても、気持ちよく聴けるサウンドだと思います。
アプリから音質の設定を“高揚”にすると、より重低音の厚みを強化、“高音強調”ではクリアさ全振り、“音声”も声のクリアさ重視に切り替えられます。
そして「HUAWEI FreeClip」は通話マイクも搭載。デュアルマイク+骨伝導VPUセンサーを搭載し、さらに独自のマルチチャネルDNN(ディープ・ニューラル・ネットワーク)による通話ノイズリダクションアルゴリズムにも対応。
ビデオ会議で使ってみると、しっかりと厚みある形で声を拾ってくれるし、隣の部屋から流れてくるテレビ音声も拾わないなど、通話性能はとても優秀でした。
* * *
耳を塞がず周囲の音が聞こえるイヤホンの新製品「HUAWEI FreeClip」ですが、形状や装着の快適さ、操作性、音質、通話性能まですべて優秀で、とにかく完成度が高い逸品。音質重視の完全ワイヤレスイヤホンをすでに所有している人でも、“ながら聴き”目当てで「HUAWEI FreeClip」を買い足すのもアリだと思いますよ。
>> HUAWEI
<取材・文/折原一也 撮影協力/ファーウェイ・ジャパン>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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