■リサイクル素材を多用、インフォテイメントシステムのOSも刷新
リスボン近郊でドライブした新型カントリーマンは2モデル。
ひとつは、2リッターガソリンエンジンと全輪駆動システムの組み合わせの「ミニ・ジョンクーパーワークス(JCW)カントリーマン」。カントリーマンのラインナップで最もパワフルなモデルです。最高出力は233kW、最大トルクは400Nm。
もう1台は「ミニ・カントリーマンSE ALL4」。日本におけるバッテリー駆動のカントリーマンは、150kWで前輪駆動の「E」と、モーターを前後に搭載して、225kWの最高出力と494Nmの最大トルクをもち、一充電あたりの最大走行距離433kmの「SE ALL4」の2本立てです。
走りに加えて、新型カントリーマンの特徴はなにか。リサイクル素材をインテリアやロードホイールに多用していることがひとつ。もうひとつは、インフォテイメントシステムのOSが新しくなったこと。これで、モニターの使い勝手がさらによくなったり、アプリの種類がうんと増える(今後)ことになります。
それに、運転支援システムも機能向上しています。ハンズオフ機能つき渋滞運転支援機能がミニとして初めて搭載されました。交通渋滞中の発進と停止の繰り返し、さらにその際の操舵はクルマが積極的に支援してくれます。
■走りの印象は「大人っぽい」
ドライブした印象は、けっこう大人っぽい、と感じました。ミニのなかでも最もスポーティなJCWモデルを「ゴーカート」なるドライブモードで走らせると、確かに速いし、加速と減速それにハンドルを切ったときのレスポンスは俊敏です。でもクルマに振り回されている感じはなく、ドライブしている自分の意思に忠実にクルマが動いてくれる感覚が快感です。
クイックな動きという点では、SE(EV)も負けていません。とくにごく低い速度域からの加速のスムーズさはさすがバッテリー駆動車と感心するもの。そのあとも、なめらかな加速を堪能させてくれます。
一方、JCWはというと、こちらも気持ち良さは、バッテリー駆動とは違う次元で素晴らしいと感心しました。アクセルペダルの踏み込みに対して、ぐんぐんと力が増していく感覚はパワフルなエンジン車ならでは。
ハイウェイではあっというまに交通の流れをリードできるし、山岳路でも速いし、動きが軽快でドライブが楽しめます。乗り心地もやたら硬くはなく、上手な設定だと感じました。
ドライブモードは、ほかにノーマルの「コア」とエコの「グリーン」が設定されていますが、やや加速がゆったりめになるグリーンモードでも、厚いエンジントルクのおかげで、リラックスして走らせると爽快でした。
■新しいドライブ体験をさせてくれる「エクスペリエンスモード」
ミニでは、ドライブモードを含めて「エクスペリエンスモード」なるものが8つ(カントリーマン以外は7つ)設定されています。リラックスするモードもあれば、ちょっとアグレッシブな気分を盛り立ててくれるモードも。インフォテイメントシステムの画面などが、モードで変わります。
今回、エクスペリエンスモードなどを動かすOSも新しくなっていて、従来のリナックスベースに代わり、アンドロイドベースになりました。理由は「アプリなどを提供してくれるサードパーティが参入しやすいから」(ミニのOS担当者)と説明されました。
なるほど、エクスペリエンスモードでは、たとえば流れる音楽に合わせて室内照明の色が変わったりと、ドライバーの気分を重視した”もてなし”が体験できます。ある意味かなり進んだ機能です。これを目的で新しいカントリーマンに興味が湧くユーザーが多く出てきてもフシギではありません。
価格は、エンジン車が1.5リッターガソリン「C」(489万円)と2リッターディーゼル「D」(509万円)、それに150kWの2リッターガソリン全輪駆動「S ALL4」(566万円)と、同じ2リッターで233kWとパワフルな今回の「ジョンクーパーワークス」(667万円)。
バッテリー駆動のカントリーマンは、シングルモーター前輪駆動の「E」(593万円)と、ここで紹介したツインモーターの「SE ALL4」(662万円)。
あとはトリムが「クラシック」と「フェイバードFavoured」、それに「JCW」(S ALL4のみ)。いまのミニは、ほとんどが標準装備で用意されていて、シートヒーター(パッケージ)やグラスルーフなど、オプションは限られています。
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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