■強烈過ぎる“ULT”な重低音サウンド
まずは“ULT WEAR”「WH-ULT900N」のデザインから紹介。
“ULT POWER SOUND”は重低音特化のシリーズなので、「WH-ULT900N」は大口径の40ミリドライバーを搭載していますが、色合いは意外と落ち着いたマット系。
装着してみると、ワイヤレスヘッドホンとしてのサイズ感こそ大きめ。本体重量は255gです。
以前はヘッドホンと言うと屋内の音楽リスニング向けというイメージがありました。でも、“ULT WEAR”のトレンドとしては、首にかけて街中を歩くからヘッドホンなんですよね。
音質、そして機能面でもポイントとなるのが“ULT”ボタンの搭載。これはサウンドモードの切り替えで、“ULT1”、“ULT2”、そして“OFF”から選べます。
音質はというと…予想を超えた重低音志向。まずは、現在ヒット中のCreepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』。疾走感のあるビートと力強いラップの楽曲を出荷時設定でもある“ULT1”で聴くと、沈み込むビートが低音部を厚く深く支えて、キックドラムの音の輪郭も出て気持ちのいい鳴りっぷり。同時にボーカルのクリアさも邪魔していません。
そして“ULT2”を聴くと、常時唸るような強烈な重低音が鳴っていて、ビートは耳に叩きつけるようだしボーカルのクリアさも落ちるので、音質面ではやり過ぎ。でも、街中で音楽を聴いていて気付いたのですが、クルマの騒音が満ちた路上で重低音をガンガンに聴くなら、これくらいの音圧が必要ですね。ちなみに、“ULT OFF”でも強調感こそないものの重低音ヘッドホンのままです。
そして「WH-ULT900N」はソニー独自の“統合プロセッサーV1”によるノイズキャンセル対応モデルでもあります。ノイキャンを有効にしてみると、比較的静かな屋内では十分な騒音低減効果がありますが、電車内や街中では耳につく周囲の騒音を自然にボリュームダウンする程度。遮音性も比較的低い方なので、特に電車内などでは人の声などは残り気味です。より高度なノイズキャンセルを求める人は、上位モデルの「WH-1000XM5」などを選ぶべきところでしょう。
ビデオ会議で通話マイクの音質もテスト。通話マイク音質は良好。特に隣の部屋で音楽が流れていてもほぼ拾わない所は“高精度ボイスピックアップテクノロジー”が上手く機能しているようです。
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“ULT WEAR”という新ブランドで登場したソニーの「WH-ULT900N」。強烈な重低音サウンドを特徴としながらも“ULT”ボタンで強度調整が可能だし、バランスの取れた機種だと思います。
ストイックな高音質の探求もいいけど、時にはヘッドホンでしか再現できない重低音を体感してテンション上げて音楽聴くのも楽しいですね。
<取材・文/折原一也 撮影協力/ソニー>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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