■刃渡りと板厚、グリップ形状をチェック
▼「WAVE」241g/刃渡り約73mm、板厚1.2mm/ステンレススチール/グリップ全長(折りたたみ時サイズ)10cm
ナイフやはさみ、ヤスリなどいろいろな機能が詰まったマルチツールだけに小さいけれどずっしり。グリップも刃もまっすぐで厚みあり。角張っているけれど、案外手に馴染みます。
▼「U.L.Noko」180g/刃渡り240mm、板厚0.6mm/SK85(炭素工具鋼)/グリップ全長200mm
日本刀のようなグリップは断面が楕円になっていてグッと握っても痛くありません。ほっそりした刃もグリップもどちらも直線的なのですが、組み立てると角度がつく構造。
▼「フォールディングノコギリ No.18」193g/刃渡り190mm、板厚不明/カーボンスチール(コーティング済み)/グリップ全長240mm
フランス産ブナ材を透明ニスで仕上げたオピネルらしいグリップは、おしりに向かうほど太くなっていてすっぽ抜けにくいデザイン。パッチン錠で誰もが操作しやすいロック機構を採用。
▼「焚き火鋸 180mm」/刃渡り約180mm、板厚0.8mm/SK85(炭素工具鋼、フッ素コーティング)/グリップ全長(折りたたみ時サイズ)213mm
4アイテムの中で唯一のカーブ刃。グリップも緩やかに弧を描いていて楽に薪に刃が食い込むデザインになっています。
■「U.L.Noko」は刃物ブランド並みの切れ味
さっそく&GPスタッフが薪を試し切りに挑戦。なかなかこれだけの数ののこぎりを使って切り比べることもないので、ワクワク。実際に試すと「モノによってこんなに違うのか!」とびっくりしています。当たり前といえば当たり前ですが、ここまでとはなぁ。
薄い刃は適度なしなりを持っていて軽い力で切り進められ、ストロークが長いことで太い薪だってなんのその。また、細かく配置された刃のおかげか、切っている最中の引っかかりも非常に少なく感じました。
「いちばん疲れにくく、軽い力で切れました。しなりがショックアブソーバー的な役割をもっているのかも?」(カメラマン・逢坂)
「U.L.Noko」はグリップを握ると自然と刃に角度が生まれるので、無理な力をかけなくてもカーブ刃並み薪にグッと食い込む! 高い位置の枝などを切りたいときにもかなりラクに切れます。
「WAVE」は刃渡りが短いので緊急時や小ぶりの薪用です。切れ味はまずまずですがストロークが短いので最後まで切ろうと思うと根気が必要。
「あくまで緊急用かな。細めの薪に切り込みを入れて、足で踏み折るなんて使い方が妥当かも」(ライター・オオモリ)
「フォールディングノコギリ No.18」はフランスブランドでも引いて切るタイプ。ピッチが大きく、ざっくざっく切れます。繊細な作業よりもがっつり切るのに適しています。
「キャンプの薪用として使う分には全く問題ないけど、こうやって比べてみるとちょっと引っかかる感じがあるかも?」(編集部・ヤマケン)
さすがと唸らせたのは刃物ブランドが作った「焚き火鋸 180mm」。表面のフッ素コーティングのおかげもあり、どんな薪もスムーズに切り進められます。切り口もキレイ。
「刃が薄いU.L.Nokoは少し時間がかかるけれど軽い力で切れるし、焚き火鋸はしっかりした刃でザクザク切れる印象。だから繊細な人はU.L.Noko、衝撃なんて気にせず切れる人は焚き火鋸がいいのかも」(編集部・円道)
「U.L.Noko」は刃物ブランドのノコギリに負けない切れ味で、キャンプ場で手に入る太い薪くらいなら難なく切れる実力の持ち主。刃を取り付けるひと手間は必要ですが、刃を守るケース付きなのでキャンプ場についたら組み立てたままにしておけばいいわけで、デメリットにまではならない印象。
「U.L.Noko」は「ノコギリは重くてかさばるから持っていかない」から「軽くてよく切れるノコギリがあると便利」と思わせるプロダクト。小型の焚き火台を使っているキャンパーやブッシュクラフトに興味が出てきた人に刺さりそうです。
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X
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