「デーラ」はシースではなく、レザーのプロテクター付き。刃先にあててからベルトを留めるため、シースのようにサッと取り出す・仕舞うというのは苦手です。でも色気プンプン、誘ってきます。
「デーラ」の刃は、ハンドルに近いところは三徳包丁のように刃の身幅が厚く、まな板に触れやすくなっていますが、先端は牛刀のように尖っていて切っ先に向かって少し反っています。
そもそも三徳包丁は、肉・魚・野菜などいろいろな食材を1本でまかなうための万能さが身上。みじん切りや千切りが得意で、ちょっと硬い根菜だってバツッと切れます。
一方、欧米の包丁は刃が狭く先端が尖った牛刀が主流。切っ先をさすようにして包丁を入れるので固まり肉を切りやすいのが特徴です。
「デーラ」は三徳包丁と牛刀をミックスした刃を持つ、三徳包丁以上にマルチな働きをする包丁というわけ。
三徳包丁ではなかなか見ない3mm厚のステンレス鋼を採用していて、カボチャみたいな硬い野菜だって無理なくカットできます。一方で切っ先は1mm程度まで薄くなっているので肉や魚を切るときは刺しやすい! このバランスが絶妙なんです。
ちなみに鋼材はスウェーデンのアレイマ社のステンレススチール(12C27)。
12C27は研ぎやすくて刃持ちもいい鋼材と言われています。包丁にせよナイフにせよ“研ぐ”って結構気合いを入れる作業ですから、いい状態の切れ味が続くのは大歓迎。
新品の包丁なんだから当然といえば当然なんですが、細胞の断面が見えるというんでしょうか、とにかく切り口がシャープ! みずみずしい果肉が閉じ込められているんです。これ、スゴイ。
鏡面仕上げは見た目だけで言えば好き嫌いがわかれるところですが、刃の表面を滑らかに整えているので切ったそばから食材が離れていくんです。食材を傷めることがなく、おまけに料理人の立場でも包丁にへばりついた食材を剥がすというストレスが大幅に低減されるというわけ。
ただし、小さくても傷ができると目立っちゃうわけで。これを味として気にせず使うか、傷がつかないようにていねいに扱うかはユーザー次第。