まず結論を。誰でも安定した味を出せるし、何より一気にお湯を注いだらあとは待つだけなのがラクでイイ。
そもそもどういうアイテムかというと、コーヒー豆をセットしてお湯を一気に注いだら本体にあるボタンをポチっと押すだけ。2分ほど待っていればコーヒーが仕上がるシロモノです。
気になる味わいは、少し酸味が出やすいのが気になるものの、コンビニコーヒーをよく飲んでいる人なら十分な美味しさだと感じます。より味にこだわりたいならひと手間加える余地もありますが、“ラクさ”を損なわない程度のひと手間なので不満というほどではありません。
注目するポイントとしては、お湯の落ち方。給湯サーバーにお湯を注いでボタンを押すと、クルクル回りながらお湯が落ちていく仕様。ハンドドリップではよく“の”の字を描くようにお湯を注ぎます。これはコーヒー豆全体にお湯がまんべんなく触れることで抽出ムラを少なくするため(=美味しく淹れるため)ですが、これを再現するのがこのクルクル回転機構というわけです。
この注ぎはコーヒーのドリップにとって大事な部分で、安定した味を出せるかどうかに関わってくる要素。ハンドドリップだとこの注ぎを安定させるのがなかなか難しい。その点、このドリッパーならお湯の落とし方が一定になるので、味も安定しやすいわけです。
他にもコーヒー豆とお湯の分量が書いてあるのもイイ。給湯サーバー側面にはコーヒー豆のグラム数とそれに合わせた湯量が記載されています。淹れる度に安定した味を楽しむためには、コーヒー豆と湯量の固定も大事ですから、親切設計だと言えます。
ちなみに付属の軽量スプーンで計測してみたところ、すりきり1杯が約8g、内側の線までが約5gになっていますので、スケールを持っていなくても大丈夫。ハンドドリップ用の道具を持っていない人でも簡単に楽しめる仕様だと感じます。
ややこしそうに見えて、意外と使い方は簡単。まず、ベースプレートに回転台をセット。回転台には単4電池が2本必要ですので、事前に買っておきましょう。メッシュフィルターに挽いた豆を入れ、ベースプレートにフィルターをセット。給湯サーバーを載せたら一気にお湯を注ぎます。最後にボタンを押したら後は2分〜3分ほど待つだけ。
もし、“もっと美味しくしたい!”なんて人には、“蒸らし”を追加するか“コーヒー豆量”を追加するのがおすすめ。
半自動のメリットを20%くらい犠牲にする気もしますが、給湯サーバーでお湯を落とす前に、フィルターに少量のお湯を落として30秒ほど待つ“蒸らし”の工程を入れます。こうすることで、よりしっかり抽出されるので酸味も抑えられて濃いめの味わいに。
「いやいや、それじゃオートの意味ないじゃん!」という声も聞こえてきそうです。手間を増やしたくない場合は、豆の量を少し増やして上げるとより美味しくなりました。給湯サーバー記載の数値よりも2g多めが目安。
10回ほど試しながらドリップしてみましたが、普段使いには十分な使い勝手と仕上がりに感じました。組み立てがめんどくさそうに見えますが、一般的なドリッパーの準備と手間はそう変わりません。強いて言えば、電池が入っている回転台をつい洗ってしまいそうになるのがちょっと怖い、というところでしょうか。
個人的におもしろいと思ったのは、ハンドドリップの練習に使えそうなこと。
“自分のハンドドリップが正しく抽出できているかよくわからない!”なんてことありませんか? 「コーヒー屋さんで飲んだコーヒーの豆を買って、自分で淹れて飲む」を何軒も回ってドリップの練習をしたことがありますが、そこまでやるのは面倒。
その点、このドリッパーは安定した味が出せるので、自分のハンドドリップコーヒーの味と比べるのは、なかなかいい練習になりそう。
ちなみに、蓋についているパーツをベースプレートにセットすることで、お茶も入れられます。これが意外と美味しい! 渋みや苦みが無く、爽やかな仕上がりになるので、アイスティーにぴったり。
コーヒーをラクに淹れられるだけでなく、ハンドドリップ未経験の人でもドリップコーヒーを楽しめる、テンマクデザイン×oceanrich「ポータブル オートコーヒードリッパー」。キャンプ専用かと思いきや自宅でも活躍します。ドリップコーヒー好きなら一度チェックしてみては。
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<取材・文/山口健壱(&GP)>
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