乗用車とは一線を画す洗練されたデザインと“味”のあるエンジンの「ジープ・コマンダー・リミテッド」

■乗用車とは一線を画すデザインの3列シート

コマンダーは、全長4770mmのボディに、2780mmのホイールベースという余裕あるサイズ。エンジンは1956cc4気筒ディーゼルで、9段オートマチック変速機の組合せとなっています。もうひとつ、大きな特徴は3列シートの7シーターなのです。

「エクステリアは、フラッグシップモデル、Grand Cherokee Lの系統を引継ぐデザインを採用しています」とは、ジープの輸入元であるステランティスジャパン。ブラックルーフの2トーンの塗り分けにして「プレミアムな雰囲気を演出」しているそうです。

グランドチェロキーは、2965mmのホイールベースに、全長4900mmのボディを載せているので、コマンダーはもうすこし市街地で扱いやすいサイズ。それでも東京では、けっこう迫力があります。

コマンダーに好感がもてるのが、乗用車とは一線を画したようなデザインテイスト。日本未導入の「グランド ワゴニア」からインスピレーションを得ているリアコンビネーションならびにリアバンパーのデザイン。加えて、ジープがこだわる台形のホイールアーチと、高めのグラウンドクリアランスが雰囲気です。

 

■ドライブしている感じのあるトルクの出かたが気持ちいい

洗練性もちゃんと感じられるんですが、オフロードも得意です。エンジンは最高出力125kW、最大トルク350Nm。とくに最大トルクは1750rpmから2500rpmの間で得られるので、たとえ悪路の登坂でも、SUV的な外観からは意外なほど力強さを感じられるのです。

4輪駆動システムは、負荷によって前輪駆動のみの走行から後輪へもトルクを自動的に配分するオンデマンド型。それだけなく「4WD ロック」と「4WD ロー」というオフロード用モードも用意されています。

冒頭で“味”という話をしました。コマンダーの場合、まずエンジン。

フィアットが開発したこのディーゼルエンジンは2000年代開発のちょい年代モノ。あいにく最近の欧州車のエンジンのようにシュンッと回って、ガソリンエンジンと区別がつきにくい、なんてことはありません。ガラガラッとそれなりに存在感を主張します。

でも、アクセルペダルを踏んでいったときのトルクの出方が、気持ちいいんです。やたらパワフルでなく、かといってもっさりもしていなくて、ドライブしている私の感覚に合います。

もうひとつは車体の動き。モノコックボディとはいえ、クロスカントリー性能もそれなりに重視しているので、足まわりは硬めで乗っていると路面からの突き上げをしっかり感じます。

ハンドルを切ったときの車体の動きは良好で、アクセルペダルの踏み込みにきちんと反応してくれるエンジンとの相性も良好。これらのダイレクトな感覚が、ドライブしているときの楽しさにつながっています。このクルマ独自の味といってもいいでしょう。

 

■ランクル70より快適装備が充実したコマンダー

2列目シートは、シアタータイプ。着座位置を1列目より高くすることで、ここに座る乗員の前方視界を確保しています。しかもドアは80度開くことで乗降性にも配慮。

乗り味と、ディーゼルエンジンというスペックスと、シアタータイプの後席などで、私がすぐに連想したのはトヨタのランドクルーザー70。1984年に発売され、世界中で販売されてきたクロカン型4WDです。

日本では一時期販売が見合わされていましたが、プリクラッシュセイフティなどを見直して23年11月に再販売がスタートした人気車種です。あれも味があって、操縦が楽しいモデル。

コマンダーは、70よりはSUV志向だけに、快適装備は充実しています(70の競合はむしろラングラーかもしれません)。車内には、精度の高いゼンリンのマップを使うナビゲーションシステムやアップルカープレイとアンドロイドオートに対応するインフォテイメントシステム搭載の10.1インチモニターもあって楽ちん。

クルマは多様だから楽しい。ジープ・コマンダーは、そう感じさせてくれるモデルなのです。

【Specifications】
Jeep Commander Limited
全長×全幅×全高:4770×1860×1730mm
ホイールベース:2780mm
車重:1870kg
エンジン:1956cc直列4気筒ディーゼル 4WD(オンデマンド型)
最高出力:125kW@3750rpm
最大トルク:350Nm@1750〜2500rpm
燃費:14.4km@リッター(WLTC)
価格:597万円

>> Jeep Japan

 

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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