■ノイキャンも音質もオールラウンドに優秀
イヤホン本体はショートスティックタイプで、個人的には耳にとても快適にフィットする設計。ホワイトの筐体にシルバー、白い“JBL”のプリントとデザイン面も上質です。
気になるポイントはやはり充電ケースに付いた液晶タッチディスプレイ。昨年の「TOUR PRO 2」と比較すると作りが変わっていて、ディスプレイはケースのフタの位置に搭載されています。
液晶ディスプレイは、使えばすぐ納得できるほど便利。完全ワイヤレスイヤホンを装着している=ポケットなどすぐ手に取れる場所に充電ケースを入れて持ち歩いている、ということで、イヤホンに触れずともケースでリモコン操作できるようになっています。
ケースでできる操作は、イヤホン本体のタップでも操作できる再生/停止や音量以外にも、アンビエントサウンド(ANCや外音取り込み)、空間オーディオ、イコライザー等の設定にもおよびます。もちろんアプリを使えば画面を見ながら同じ設定もできるのですが、スマホで動画再生中やゲームプレイ中などアプリを切り替えたくない時に、充電ケースから設定を切り替えられるというのはたしかに便利。
一方、“JBL Headphones”アプリも一度はお世話になる人が多いはず。そもそも“LDACコーデック”を使おうとすると、一度はアプリから“ハイレゾオーディオ”の設定を有効にして再起動する必要があるから。
それ以外でも、とにかく多機能。イヤホンの装着状態や周囲の騒音を測定する機能が多数あり、音質の個人パーソナライズ化を行う“Personi-Fi 3.0”、音漏れなどを検出してリアルタイム補正を行う“アダプティブEQ”、ANCの自動補正などが利用可能です。ただし、イコライザやANCの自動補正など重要な機能以外はLDACコーデックとは排他利用になります。
ノイズキャンセルについては、4つのマイクによるリアルタイム補正機能付きハイブリッドノイズキャンセリングを搭載。持ち出して電車内で体験してみると、走行時の重低音の騒音に十分強いというだけでなく、ガタガタとした中域の音や車内アナウンス、そして車内空調の高域までも効果的にボリュームダウンします。耳に付く騒音の尖りがなくなることもあり、ノイズキャンセル全体として、とても快適。外音取り込みも音がハッキリと聞き取れて実用的です。
では音質もチェックしていきます。AndroidスマホにてLDACコーデックで接続しての検証です。
宇多田ヒカル『BADモード』から聴き始めると、イントロから空気を振動させるようなキックドラムの重低音に深みに驚かされます。ただ重低音志向というだけでなく、中高域の女性ボーカルの歌声はクリア。どこか頭の中で空間を作りコーラスを展開する音の立体感も正確。高域のシンバルもキツさがなく好印象です。
Creepy Nuts『bling-bang-bang-born』を聴いても低音のリズムのキレを発揮。男性ボーカルでもやはりコーラスの展開がうまく、音に包みこまれる臨場感や、音楽への没入感が絶妙です。
LDACコーデックの状態でもイコライザーは使用可能で、しかもそれがアプリでなく液晶ケースからも切り替え可能というところも抜かりなし。
通話マイク性能については、合計6マイクを搭載。ビームフォーミングや風ノイズ軽減、さらにアプリから環境音レベルのカスタマイズなど、通話機能も多機能です。実際にビデオ会議で試してみると、通話音質自体が声の厚みとクリアさがとても優秀な上に、隣の部屋で流れていたテレビの音などを拾わない効果も、とても優秀でした。
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充電ケースへの液晶タッチパネル搭載だけではなく、多方面の魅力があるJBL「LIVE BEAM 3」。ノイズキャンセル性能の良さ、多彩なカスタマイズ機能や操作性の良さ、迫力と臨場感重視の音質、そして通話マイクまで、多方面に完成度の高さが光ります。実勢価格が2万8050円となると、現在はミドルクラスの位置づけになりますが、その価格であれば納得感しかないオールマイティな完全ワイヤレスイヤホンです。
>> JBL
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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