ほかにも、今回は珍しいスバル車に乗せていただけたので、ひと言ずつレポートを。
スバル360は、356ccの空冷直列2気筒(2サイクル)をリアに積んだ“国民車”。驚いたのは、リアシートが実用的な広さを確保してあること。座面高こそ低めですが、身長165cm、足短め、なワタシの場合、特に背中をかがめることなく、普通に座れました。シャーシの上には、卵の殻のような外皮だけ、という成り立ちゆえの居住性なのですね。
これまたよく整備された2気筒直列エンジンは、プルプルと回り、415kg(!)のボディを元気よく走らせます。もし交通量が少なめの地域に住んでいるならば「愛玩用(!?)に1台欲しい!」と感じたほど。
なんとなく、ワゴン(エステートバン)のイメージが強いレオーネですが、実は1971年の初代デビュー時は、2ドアモデルだけのラインナップなのでした。
今回用意された「レオーネクーペ RX」は、弾丸ミラー、黒の鉄チンホイールと、なかなか男らしい見かけ。キルティング風の黒のビニールレザーも、当時のスポーティカーの定番です。
4気筒の水平対向エンジンは、1.4リッターに拡大され、93馬力の最高出力と11.0kg-mの最大トルクを発生しますが、排ガス、燃費、衝突安全、そして、装備の充実といった重荷を背負い、60年代のスバル1000の頃のような軽快さは影をひそめています。ハンドルもめちゃくちゃ重く、久しぶりに“手アンダー”なんて言葉を思い出しました。動態保存されたレオーネクーペは、自動車苦難の時代の生き証人ですね。
間もなく、新世代のプラットフォームを採用した新型「インプレッサ」が発売され、2017年には、1917年の中島飛行機(スバルの前身)設立以来、100周年という節目を迎えるスバル。それを機に社名も、富士重工業株式会社から、株式会社SUBARU(英字!)へと変わります。
真面目一辺倒で、その実力にブランドイメージが付いてこないきらいがありましたが、過去の製品は、何よりも饒舌にスバルのユニークさを物語ります。スバリストだけに独占させておくのは、もったいない! そんなことを考えながら旧車ドライブを満喫した1日でした。
(文&写真/ダン・アオキ)
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