フォルクスワーゲン「ゴルフ」が50周年!懐かしいモデルから希少なモデルまで歴代モデルを一挙大公開

■50周年記念行事で歴代モデルを公開!

フォルクスワーゲン本社では、2024年6月、ゴルフの50周年記念行事の一環として、初代から現在にいたるまでのゴルフを、それもスポーティなものばかり選りすぐって、ミュージアムからピックアップ。

ドイツはオスナブリュックなる、ブレーメンとドルトムントの中間にある街の、もとカルマン(2009年に倒産して現在はフォルクスワーゲン・オスナブリュック)工場を使って、ずらり39台のスポーティ・ゴルフが公開されました。訪れた私にとって、初めて観るモデルもけっこう多くて、興奮させられる内容でした。

  ▲初代ゴルフGTI(1975年) を先頭に現在の8代目までが並べられた展示 ※Wolfgang Grube撮影

▲めずらしい展示のひとつが、ゴルフⅦベースのプロトタイプ「GTIロードスター」(2014年)で、ビジョングランツーリスモとして製作された ※Wolfgang Grube撮影

▲これ欲しい、と思ったのが会場に置かれたGTIの有名なシートパターンを使った大型クッション

ちょっと、カルマンのことを説明しておきましょうか。同社は、そもそも馬車製造会社として19世紀半ばにスタートしました。欧米の自動車メーカーのために車体の架装を手がけてきて、日本だと「カルマン・ギア」(1955年)がとりわけ知られていると思います。

加えて、「フォルクスワーゲン・ビートル・カブリオレ」(51年)や「同ゴルフ・カブリオレ」(79年)なども、日本でよく知られたカルマンの仕事です。オープンのような特別なボディも作れば、まるごと生産を請け負うこともありました。

オスナブリュックで私が見た過去の作品のなかには、ゴルフⅠをベースにしたカブリオレ(日本でも人気ありましたね)のプロトタイプがありました。幌が薄く、かつロールオーバーバーのないフルオープン仕様で、かなり魅力的でしたが。発売されることのなかったモデルです。いろいろ試作があって市販化に進むのですね。

 

■レースモデルの展示も

▲GTIが前輪駆動であるのに対して、Rは全輪駆動(「R」のオリジンともいえるゴルフⅣのR32) ※Wolfgang Grube撮影

▲最新のゴルフRブラックエディションは従来より13馬力パワーアップした328馬力の2リッターエンジン搭載 ※Wolfgang Grube撮影

ところでゴルフですが、GTIやRといった日本でも人気の高いモデルが歴代にわたってずらりと並べられたり(新しい仕様も公開されたり)するのと並行して、モータースポーツで活躍した歴史的モデルや、ゴルフをイメージしたスポーツ・コンセプトという希有なモデルも並べられていたのです。

ゴルフ好き、というか、クルマ好きにはたまらない展示です。“これがホンモノか!”と思わず声が出てしまうモデルもあれば、こんなゴルフを作っていたのかーと感心させられるものも。

▲パイクスピーク・ヒルクライムレースに出走したツインエンジンのモンスターゴルフ ※Wolfgang Grube撮影

なかには、1987年のパイクスピーク・ヒルクライムレースに出走した、モンスターゴルフも。ゴルフⅡの見かけだけれど、エンジンを前後に搭載した4輪駆動で、いっぽう車重はほぼ1トンと超軽量。

このレースでドライバーを務めたヨヒ・クライント氏もこのときイベントに来ていました。「高度2800mから4300mまで駆け上がるという、かなり苛酷なレースでしたが、ゴルフはぎりぎりまで耐えてくれました」と話してくれました。

▲パイクスピークドライバーを務めたヨヒ・クライント氏 ※Wolfgang Grube撮影

 

■ゴルフの魅力とは

▲2025年モデルのRは新しい19インチホイール採用をはじめ、フロントのロゴがライトアップされたり、テールレンズの意匠が変更されている

総じて感じられたのは、ゴルフでもってモータースポーツを続けてきたフォルクスワーゲンのスタッフの熱い気持ちでした。

▲最新のゴルフRのダッシュボードには12.9インチモニターがそなわる

「3700万台を超える台数を70以上の国で販売してきたゴルフは、世界でもっとも成功したモデルといってもいいでしょう。私が個人的にすごいと思っているのは3点においてです……」

そう語っているのは、フォルクスワーゲン・ブランドのトマス・シェファーCEOです。

「第一点はクラスレスであること。どんな使い方にも合うのです。第二点は退屈の対極にあること。だから多くのファンを獲得してきました。第三点はずっとフォルクスワーゲン的なクルマであり続けてきたことです」

フォルクスワーゲン的なクルマとは、多様性に富み、イノベーションを秘めていることだそうで、同社ではそこから、さらに効率的で、快適性に富み、品質が高く、デジタル技術も進んだモデルを作りだしていくと、シェファーCEOは結んでいます。

とりあえずの50年。そんな気持ちで続けるクルマづくりから、へんなモデルが生まれるはずない、なんて思わせられますね。

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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