■Fire TVの画面にテレビ放送を融合
パナソニックによるFire TV搭載テレビの第一世代として登場したビエラ。その中でもスタンダードクラスとなるW90Aシリーズの最小サイズである「TV-43W90A」。4K倍速液晶テレビ搭載で、バックラライトは直下型分割駆動の通常タイプ。ラインナップ全体としてはエントリーの次のグレードになります。
実際にビエラ「TV-43W90A」の画質を見ても、液晶テレビとしてはスタンダードな水準。VAパネル採用で視野角の影響は受けます。音質は、人の声は聞きやすく、Dolby Atmosにも対応。国内大手ブランドらしくバランス良く作り込まれています。
さて本題は、ビエラのFire TV採用による変化です。
まず、ビエラ「TV-43W90A」で“ホーム画面”にアクセスすると…見た瞬間から“ほぼFire TV Stickと同じ”。
画面上部のおすすめ作品、中央部のアプリへのショートカット、下に並ぶおすすめ一覧まで共通。プロフィール切り替えも可能です。
では隣に置いた「Fire TV 4K MAX 第2世代」と見比べてみましょう。
デザインは基本的に同じですが、よく見るとテレビとして必要な操作アイコン等が異なります。ビエラ「TV-43W90A」のホーム画面は目立つ位置に“入力”ボタンがあります。これは地デジ/BS/4Kなどへのの切り替えと、HDMI入力への切り替え。
それからホーム画面下の“放送中チャンネル”、及び“ライブ”の項目内にAbemaTVなどのネットTV局と一緒に、地デジなどの地上波のチャンネルも追加。もちろんネット放送局も表示できるので、これがネットと放送の融合を表す画面ということになります。
なお、YouTube、PrimeVideo、Netflixなどのアプリは初回起動時にアプリから導入する形式になっている点もFire TVと同じです。ストアで提供されているアプリも基本的に共通です。
Fire TVとしての操作性、レスポンスもとてもサクサク。ということで、ビエラ「TV-43W90A」と、スティック型としては最新&最上位の「Fire TV 4K MAX 第2世代」、各種アプリの起動速度(初回起動速度)とレスポンスを比較してみました。
<Netflix起動時間>
ビエラW90A:18秒86
スティック:16秒00
<PrimeVideo起動時間>
ビエラW90A:4秒86
スティック:4秒86
<YouTube起動時間>
ビエラW90A:5秒10
スティック:3秒50
アプリ起動速度は「Fire TV 4K MAX 第2世代」が高速ですが、その差は僅か。PrimeVideoの作品リストのスクロール時間を測定すると、ビエラ「TV-43W90A」が17秒06、Fire TV Stickが18秒40とこちらはビエラがリード。総合的に見るとレスポンスは同程度です。
ネット機能では大胆にFire TVを取り入れたビエラですが、もちろんテレビらしさ、ビエラの特徴も残っています。
まず、付属リモコンは地デジなどのチャンネルボタンもある縦長デザインで、アプリボタンを8つ搭載。ちなみに、Fire TVシリーズのリモコンにはYouTubeボタンがないので、YouTubeユーザーはビエラの方が便利です。
ボタン数の多いリモコンが付属するメリットは、UIを経由せずダイレクト操作可能ということ。例えばホーム画面から地デジに切り替える、地デジ画面からやっぱりYouTubeを起動、なんて操作もワンアクション。
番組表は従来のビエラそのままで、USB HDD接続によるテレビ放送の録画も可能。ただ取材時点では4K放送の録画は未対応で、アップデート対応予定とのこと。
* * *
パナソニック ビエラ「TV-43W90A」を使ってみると、従来型のテレビとFire TVの融合を目指した意欲的な製品であることは分かります。ネット動画部分はFire TVそのままに近く、テレビ放送系もUIに取り込んでいます。レスポンスも妥協せず、「Fire TV 4K MAX 第2世代」と同等に作り込んでくれたのは安心できるポイントです。
一方、リモコンや番組表、録画周りなどはビエラの操作体系もそのまま残しています。融合が不完全というより「テレビとして最適化されたUIを残してくれて良かった」というのが正直な感想。あとは、AirPlay対応など、ビエラがこれまで搭載してきた機能も移植されていて、独自機能もアップデートで対応予定とのことです。
これまでのテレビの機能性や操作性を継承しながらFire TV化も果たしたパナソニック・ビエラは、スティック型のFire TVユーザーも安心して購入できるテレビとして新しい選択肢になりそうです!
>> パナソニック「ビエラ」
<取材・文/折原一也撮影協力/パナソニック>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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