利便性が高くパワフルな全輪駆動!フォルクスワーゲン「ID.BUZZ GTX」は大きな荷室のピュアEV“カーゴ”

■大きな荷室を持つピュアEVのカーゴ

▲ロングホイールベースは後席用ドアの幅も大きくなっている

▲パワフルな全輪駆動のGTX

タイプ2は、当初は2人乗りキャビンに荷台というトランスポーターが出て、追って商用バン、マイクロバス、それにキャンパーなど、バリエーションがどっと増えました。

22年に登場したID.BUZZは、オリジナルのタイプ2のキュートなルックスを意識したフロントマスクをもっていて、機能性とデザイン性、ともに高い仕上がり。最大の特徴はバッテリー駆動のピュアEVという点です。

▲「アイダ(IDA)」と呼びかけるとモニター内のAIが起動して、広範囲の音声コマンドが行える

▲スポーティな雰囲気が強いGTXのフロントシート

開発を担当したのは、VWの商用車部門。カーゴといって、荷を載せるパレットなどを重ねて運んだりする仕様もあります。そのため室内から設計されたといってよく、車幅が大きいのもそのため。ルノーカングーやプジョーリフターなどと同じ用途を持ったモデルといえます。

2024年5月にパワフルなGTXと、さらにロングホイールベース版がラインナップに加えられました。標準モデルはモーターを1基リアに搭載した後輪駆動ですが、今回のGTXは前後に1基ずつの全輪駆動。VWでは4モーションと呼びます。

ロングホイールベース版は、ホイールベースが3239mm。標準モデルでも2989mmとじゅうぶん長いのですが、さらに250mm伸ばしています。そして3列シート化を実現しました。2-2-2の6人乗りと、2-3-2の7人乗りが選択可能。後輪駆動車でも4モーション車でも、いずれかのホイールベースが選べます。

▲荷物搭載のために2列めシートはかんたんにおりたためる

▲2列めと3列めのシートをおりたたんだ状態

22年の発表当初から、狙っている米国市場では3列シートのニーズが高い、とVWの開発者は話していました。乗ってみると、3列めのシートも身長180cmの人が余裕をもって座っていられます。

もうひとつ、ロングホイールベースの特徴は、荷室の大きさです。3列目シートを使った状態でも容量は306リッター。たたむと1340リッター。2列目と3列目のシートをたためば、2469リッターという大きな空間が誕生です。家具でも家電でも積めそう。

▲荷室内に置かれたボックスには充電用ケーブルが収められている

▲シートはとりはずし可能

■VWらしく利便性の高いパッケージング

▲ハンドルのデザインをとっても凝っている

▲ドイツ仕様ではChatGPTが組み込まれている

私がドイツで試乗したID.BUZZ GTXロングホイールベースは、2列めに、アームレストのついたキャプテンシートを備えた6人乗り仕様。どの席も快適でした。

運転席はすっきりとした造形で、視界が広がる印象。2列めは前後スライド式で前に移動しても足元には余裕があります。3列めも先述したとおり、ちゃんと機能しています。後席アクセス用の電動スライドドアも192mmに拡大していて乗降性にも優れています。

この利便性の高さは、さすがVW。そもそも、乗用車でもVWの製品はパッケージングにすぐれています。トランスポーターのID.BUZZではその力がいかんなく発揮されたといってもいいかもしれません。

GTXでは前後に搭載したモーターを86kWhと大容量バッテリーで駆動。トータル出力は250kW、最大トルクは580Nmとパワフルです。足まわりも締め上げられていて、操縦感覚はスポーティ。

▲GTX(左)と後輪駆動の標準モデル、ともにロングホイールベース

赤とシルバーの塗り分けで、まさにウルトラマンを連想させましたが、ドイツでは知られてないし、そもそもそんな意図はなかったようです(当たり前?)。

でも、後輪駆動モデルと走りを比較すると、そのイメージはあながち間違っていないかも、と思わせられました。全長は5m近くありますが、発進から全速度域にわたって加速はするどく、バッテリー駆動車の面目躍如という感じであります。

GTXはスポーティなハンドリングを持つので、乗り心地もややかため。快適志向のひとなら、後輪駆動モデルがいいと思います。ロングホイールベース仕様でも、十分力強さを感じさせてくれました。

▲オプションのパノラマルーフは2列めと3列めシートの乗員に大きな開放感をもたらす

GTXロングホイールベースの一充電あたりの走行距離は発表されていません。2駆の標準モデルのロングホイールベース版は487kmとメーカーでは発表。今回の私の実体験からいうと、320〜330kmといったかんじです。

私たちが止まったウォルフスブルグ駅前のホテルの地下駐車場にはBEV用の急速充電器がずらりと並んでいて、たいへん使い勝手が良かった。個体ごとに相性があるようで、充電できないものもありました。このあたりフシギ。

ID.BUZZシリーズは、2025年上半期から日本導入される予定だそう。ただし具体的なモデルと、価格は未発表。キャンプのよき相棒になってくれそうです。

▲シグネチャーライトはGTXと標準モデルとで異なる

▲ID.シリーズに共通の水平のLEDライトをそなえる

▲標準モデルのインテリアは快適志向のイメージ

▲ノンレザーのシート表皮を使う

【Specifications】
Volkswagen ID.BUZZ Standard
全長×全幅×全長:4712×1985×1927mm
ホイールベース:2989mm
出力:モーター1基
駆動:後輪駆動
バッテリー容量:82kW
トータル出力:150kW、最大トルク:310Nm
一充電あたり走行距離:423km
価格:未発表

Volkswagen ID.BUZZ GTX Long Wheelbase
全長×全幅×全長:4962×1985×1927mm
ホイールベース:3239mm
出力:モーター2基
駆動:全輪駆動
バッテリー容量:86kW
トータル出力:250kW、最大トルク:580Nm
一充電あたり走行距離:未発表
価格:未発表

<取材・文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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