SLCは、これまで「SLK」と呼ばれていたコンパクト2シーターオープンの後継モデル。SLKの“K”とはドイツ語の“短い(Kurz)”から採られたもので、メルセデス・ベンツが手掛ける2シーターオープンの旗艦モデル「SL」に対し、小さくて短いことからSLKと名付けられました。
それが「モデルのヒエラルヒーをはっきりさせよう!」という最近のメルセデスの方針に従って、“K”改め“C”となったわけです。昨今流行のSUV系は、すでに小さい方から「GLA」→「GLC」→「GLE」→「GLS」となっていますが、先々この2座オープンのカテゴリーも、SLが「SLS」になったり、「SLE」が登場したりするんでしょうか?
新生SLCは、SLKとしては最終型となった3世代目のフロントフェイスを最近のメルセデス顔へとお化粧直しし、エンジンを新世代の環境対応ユニットに換装したモデル、といえます。
グレードは、1.6リッターの直4ターボ(156馬力/25.5kg-m)を搭載する「SLC180」(530万円)、同「SLC180スポーツ」(590万円)、2リッター直4ターボ(184馬力/30.6kg-m)の「SLC200スポーツ」(685万円)、そして、3リッターV6ツインターボ(367馬力/53.0kg-m)を載せたメルセデスAMG「SLC43」(970万円)で構成されます。SLK時代の2リッターモデルに換わって1.6リッター車が登場し、新型の2リッター車は、一段上の価格帯になりました。
今回ドライブしたのは、SLC180スポーツ。ノーマルの180と比較すると、AMGルックの前後バンパーを備え、ホイールは18インチになっています。ドットの海に翼を伸ばしたスリーポインテッドスターが浮かぶ“ダイヤモンドグリル”も“スポーツ”の特徴となります。少々クラシカルかつエレガントな印象で、兄貴分のSLと雰囲気がよく似てる。これまた、モデル間のイメージを統一する、最近のメルセデスのトレンドに乗った変更です。
ホイールベースは、先代SLKと同寸の2430mm。ボディサイズは、全長4145×全幅1845×全高1295mmと、こちらもSLKとほとんど変わりません。
インテリアは、ブラックとシルバーを基調にした定番カラーでまとめられ、レザー内装が標準となります。横方向に余裕がある室内で、ゆったりドライブできます。
気になったのは、身長165cm、足短めの自分の場合、シート位置を一番前にしても、床から生えるスロットルペダルの付け根にかかとが届かなかったこと。アクセルは普通に操作できますし、ブレーキもしっかり踏めるので、実用上の問題はないのですが、なんだか落ち着かない気分です。SLCは小柄な女性が乗ることも多いだろう車種ですから、ココは要改善ですね。ちなみに、大きなSLでは同様の問題はありませんでした。不思議。
新しいSLCでは、バリオルーフこと電動ハードトップの開閉を、停車時に操作を始めれば、40km/h程度まで動作を継続できます。屋根を開け閉めする途中で青信号になっても、後続車に迷惑かけることなく、スムーズに発進できるわけです。
SLCは、オープンにすると(当然ながら)、ルーフ部分がトランクに収納されます。たまたまSLCの前にSLの試乗をしていたので、つい比べてしまうのですが、SLではトランクリッドを開けると、自動で収納されたルーフ部分が跳ね上がり、荷物の出し入れを容易にしてくれます。これは便利! 車両価格が半分程度のSLCに同じ機構を要求するのは酷かもしれませんが、同車は他人の視線を意識したプロムナードカーの要素も強いモデルですから、ぜひ採用して欲しいところです。