■整えられた音質が優秀&ソニーらしいアプリが便利
まずは実機をチェックしていきます。
外見はポップな4色のカラー(写真はブルー)でコンパクト。ソニーの密閉型完全ワイヤレスイヤホン史上最小サイズで、体積は従来比約21%ダウン。重さはイヤホン片側で約4.6gと軽量です。
イヤホン本体と耳の接触面を増やす“エルゴノミック・サーフェース・デザイン”で、小型ながら耳の密閉感が高いタイプ。耳からの出っ張りを押さえたデザインで、ポップなカラーが目立って可愛らしいモデルです。
イヤホン本体による操作はタッチではなく押し込むボタン式というところは、個人的には誤操作が少なくて好感を持てます。再生は音量コントロールと外音取込、音量操作まで対応。「Sony | Headphones Connect」アプリでカスタマイズも可能です。
外音取り込み機能は20段階調整で、音楽を聴きながら周囲の音が聞こえるのも便利。ただ、約1万円と考えると、ノイズキャンセル機能の搭載ナシは残念かも。
バッテリー性能はイヤホンのみで最大11時間再生。ワイヤレスイヤホンとしてはかなりの長時間再生です。充電ケース込みでは合計22時間再生。5分の充電で最大1時間の連続再生も可能です。
ワイヤレス部はBluetooth 5.3搭載でSBC/AACコーデックのみとスタンダードな仕様ながら、今どきのマルチポイント接続にはしっかり対応。スマホだけでなくPCと接続してビデオ会議用なんて使い方も問題なしです。
そして冒頭でも説明した通り、僕がソニー「WF-C510」に注目した理由は前世代の「WF-C500」の音質が良かったから。
実際にソニー「WF-C510」をiPhoneとペアリングして音質を確認してみると…。やはり期待以上に良く整えられた音質。
まず、すべてデフォルトで宇多田ヒカル『BADモード』を聴いてみます。ナチュラルで音楽的な表現力に優れたサウンド。イントロのエレキギターの音から質感がいいし、キックドラムの低音はメリハリ良く再現。歌声はキツ過ぎず丁寧。特定のサウンドバランスを攻めずに曲全体のバランスが良く整えられていて、前世代の良さを引き継いでいます。
アプリ「Sony | Headphones Connect」を使って、自分好みの音質にカスタマイズを加えていけるところもソニー「WF-C510」の面白さ。まず試してみてほしい機能が、ワイヤレス伝送で失われた音情報を復元する“DSEE"で、柔らかいサウンドに音の緻密さが加わります。
デフォルトの音質が物足りないという人はイコライザー設定もおすすめ。例えば“Excited”に設定すると分かりやすく重低音をブースト。高域をキレ良くする“Treble Boost”や“Bright”も意外とマッチ。もちろん自分で調整する“Custom”、音楽を聴きながらイコライザーを作れる“ファインド・ユア・イコライザー”も便利。
MacbookAirとペアリングしてビデオ通話マイク音質もテスト。実際に自分の音声を聞いてみると…マイクが空間に響く風に拾う点がマイナス。騒音には強く実用には足りる音質ではありますが、これは価格相応といったところ。
* * *
ソニー「WF-C510」を実際に使ってみると、入門モデルながらワイヤレスイヤホンの大手ブランドが作り上げたモデルらしい完成度。今どき実勢価格で1万円切りとなるとノイズキャンセル付きの製品も多いので、コスパ的には苦しく見えがちですが、良く整えられた音質とアプリによるサウンドのカスタマイズが充実でカバー。
知人に「1万円くらいでオススメのワイヤレスイヤホンない?」と聞かれた時のチョイスとして「WF-C510」は、装着感や使い勝手、音質もカスタマイズも含めて安心してオススメできる一台ですね。
>> ソニー「WF-C510」
<取材・文/折原一也 撮影協力/ソニー>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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