■新機能「カメラコントロール」と「フォトグラフスタイル」の使い勝手は共通
iPhone 16シリーズには「カメラコントロール」という新機能が搭載されています。
右側面にフラットなボタンが新設され、ここをクリックするだけでカメラが起動。もう一度クリックするとシャッターを切れます。また、カメラの起動後に長押しすると、押している間は動画が撮影されます。シャッターチャンスに出会ったときに、より素早く簡単に撮影できるようになったわけです。
カメラコントロールの使い勝手を比べてみたところ、両モデルに差はないようでした。
カメラコンロールはカメラの起動後に軽く押すとズームなどの操作ができ、軽く2回押すと、カメラコントロールで使う機能を選択できます。ズームのほかに露出、被写界深度、カメラ(レンズ変更)、スタイル、トーンを選択でき、次回起動時には直近で設定した機能が表示されます。
カメラコントロールで「スタイル」を選択すると設定できる「フォトグラフスタイル」は、iPhone 16シリーズでは最新世代のものを使えます。撮影時に「鮮やか」「ナチュラル」「ルミナス」「ドラマチック」など15のスタイルから選択でき、パネルをなぞってトーンや色味を微調整することも可能。また、撮ってから「写真」アプリで同じように編集することもできます。こちらの機能の使い勝手も無印モデルとProモデルに差はありません。
■基本性能はProが勝るが、無印もしっかりハイエンド
前世代のiPhone 15シリーズと、その前のiPhone 14シリーズは、無印モデルとProモデルでは世代が異なるチップが搭載されていました。しかしiPhone 16シリーズは、無印モデル、Proモデルともに最新のチップが搭載されています。性能には若干差があり、無印モデルは「A18チップ」、Proモデルは「A18 Proチップ」というものが搭載されています。
両モデルを実際に使い比べて、操作性に差を感じることはありません。どちらもサクサクと軽快に操作できます。「Geekbench 6」というアプリでベンチマークスコアを測定したところ、Proモデルが若干高いスコアを記録しましたが、購入の決め手となるほどの差ではありません。
筆者は、これまでiPhone 15 Proを使っていましたが、iPhone 16のほうが高いスコアだったので、iPhone 16も十分すぎるほどパワフルなハイエンドモデルと評価していいでしょう。
両モデルともに、Appleの生成AIサービス「Apple Intelligence」に対応しています。日本語で利用できるようになるのは来年からと予告されていますが、どちらを買っても、iPhoneをグ〜ンと便利に活用できるようになることが期待できます。
■ほかにも細かい違いはあるが、使い勝手は互角
アップルはiPhoneのバッテリー容量は公表していませんが、バッテリー駆動時間として、iPhone 16は「最大22時間のビデオ再生」、iPhone 16 Proは「最大27時間のビデオ再生」としています。筆者が使い比べた範囲では明確な差は実感できませんでした。iPhone 16 Proは常時表示をオンにして使っていることもあり、むしろ、電池の減りが早いようにも感じています。
その他の違いとしては、USB-Cの対応規格が無印モデルは「USB 2」であるのに対して、Proモデルは「USB 3」に対応し、最大20倍の速度でデータ転送ができるとのこと。使い方によっては、重視すべき差分といえるでしょう。
なお、前世代ではProモデルだけに搭載されていたアクションボタンが、iPhone 16シリーズでは無印モデルにも搭載されています。これは、従来のサイレントスイッチに置き換わる機能で、よく使う機能を割り当てられます。
もうひとつ大きな違いを書き忘れていました。価格です。アップルストアでの価格は、iPhone 16が12万4800円(128GB)〜で、iPhone 16 Proは15万9800円(128GB)〜。スペックの差を考えると妥当と思える価格差になっています。やはり、カメラ性能をじっくり比較して、Proモデルだけに搭載されている機能が必要か否かを見極めて選ぶのが得策でしょう。
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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