開放型+ノイキャンの「AirPods 4」は低音と空間オーディオが強烈!これは面白い!

ではiPhoneと接続して検証していきます。

アップル純正らしく、iOSの“設定”画面から各種設定変更が可能です。

▲“設定”画面内にAirPodsの設定カスタマイズ画面が現れる

ノイズキャンセルを検証してみると、屋内のエアコンのような規則的な音にはとても効果的。路上でも周囲の喧騒をボリュームダウンしてくれますが、電車内に持ち出すと騒音も多少は聞こえてきます。

▲電車内でもノイズキャン性能をテスト

なお、ノイズキャンセル効果に伴う違和感がややあるところは注意点。iOSの設定からノイズキャンセルを“適応型”に設定すると強度と共に違和感も小さくなるので、気になる人はカスタマイズしておきましょう。

▲アプリで設定後は、スティック長押しでモード切り替えが可能

また「AirPods 4 ANC」では「外音取り込み」の設定もオススメです。元から周囲の音がやや聞こえる開放型スタイルですが、さらに「外音取り込み」をオンにすると、音楽を聴きながらでも周囲の喧騒がよく分かります。

▲開放型にプラスして「外音取り込み」で音楽をリスニング

充電ケースは小型化と共にUSB-C端子を採用し、さらに“探す”にも対応。バッテリー性能はイヤホン単体で約5時間(ANC有効時は4.5時間)、充電ケース込みでは30時間(ANC有効時は20時間)となっています。

▲コンパクトな「AirPods 4」の充電ケース

 

■開放型ゆえに気になる音質は…

では音質もチェックしていきます。新製品のアップデートとしてドライバーユニットも上位機種の「AirPods Pro 2」に近いものへと刷新。ハイダイナミックレンジなアンプを搭載しています。

Apple Musicでサム・スミス&宇多田ヒカルの新譜である『Stay With Me』を聴いてみると、「AirPods 4 ANC」の音質の凄みがよく分かります。リズムの刻みにディープに深みある重低音を取り入れた楽曲が、頭の周りで叩きつけるような空気感で再生されます。シンバルやタンバリンの高域もシャープに再現。宇多田ヒカルとサム・スミスによる歌声もムーディーに広がります。

エド・シーラン『Shape of You』でも、男性ボーカルの聞こえる位置が近く、センターからサイドへと移動する定位の再現も丁寧。リズムの音の立体感、アコギの音の歯切れ良さと高域の再現が強力。空間オーディオではない楽曲でも音を空間上に展開してワイドレンジに再生する、そんな狙いがよく分かります。

Dolby Atmosによる空間オーディオで配信中のエド・シーランの『You Need Me I Don't Need You』では空間上にダイナミックに配置された音源の遊びが強烈。ボーカルをセンターに定位させながら、音の迫力や余韻を前後方向の位置で再現します。

「AirPods 4 ANC」が得意とするのは、重低音と空間的な再現性。これが音楽リスニング体験として“面白い”ということは間違いありません。

そして「AirPods 4 ANC」では通話マイクにも新機能“声の分離”も利用できるので、テストしてみました。

▲マイク音質をテスト

ビデオ会議で自分の通話マイク音質を収録して確認してみます。

AirPodsシリーズ従来機種と同様に、声を拾う音質はクリアで通話性能の良さは文句ナシ。そして、屋外レベルの騒音を流してみても通話マイクは全く拾わないレベルでの効果を確認。“声の分離”込みの通話マイク性能の良さは本物です。

*  *  *

アップルによる最新ノイズキャンセル搭載の完全ワイヤレスイヤホン「AirPods 4 ANC」。オリジナルのAirPodsが2016年の登場以来、採用している開放型スタイルによる快適な装着感はそのままに、ノイズキャンセルも外音取り込みも対応とワイヤレスイヤホンの新スタンダードを示したことがポイント。音質については、特に重低音と空間再現という方向性を示しています。

iPhoneユーザーにとって「AirPods 4 ANC」が定番というだけでなく、今後のワイヤレスイヤホンにとっても新基準を決める1台となっていくでしょう。

>> Apple「AirPods 4」

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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