サスペンションは、フロントにEVOテレレバー、リアにEVOパラレバーと呼ばれるBMW独自の機構を採用。一般的なテレスコピックタイプのフロントフォークに比べるとピッチングの動きが抑えられ、路面追従性や快適性も高いといわれるものです。
リアは片持ち式のスイングアームで、シャフトドライブの組み合わせ。長距離の過酷なツーリングでもメンテナンスの頻度が少なく済むのもメリットで、アドベンチャーマシンらしい装備といえるでしょう。新型ではアダプティブ車高制御が装備されていて、停車時は走行時に比べて20〜30mm車高が下がるようになっています。
デザイン上の大きなポイントとなっているのは、新しく採用されたマトリクス・デザインのフルLEDヘッドライト。「R 1300 GS Adventure」は補助ヘッドライトも標準装備されています。
■自動変速機構も選べる
「ASA」搭載車は、左手側にクラッチレバーがなく、大型AT免許で乗ることができます。ホンダの「Eクラッチ」にはクラッチレバーがあり、MT免許でなければ乗れない(「DCT」はAT免許で乗れる)ので、その点が大きな違い。
また、ヤマハの「Y-AMT」は、左足側にシフトレバーがありませんが、BMWの「ASA」にはシフトレバーがあり、左足を使ったマニュアル変速操作も可能になっています。ボタンによる変速ではなく、左足のレバーを残しているのは、ライダーが慣れた操作で行えるようにするためとのこと。このあたり、各社の考え方の違いが出ていて面白いですね。
変速操作にはクリック感のようなものが残されていて、従来の変速に近い感覚ですが、実際の操作はモーターとアクチュエーターによって行われていて、レバーはいわばスイッチです。クラッチとシフトのアクチュエーター追加による重量増は約2.9kgに抑えられているとのこと。シフト操作はライダーが行うMモードと、自動で変速されるDモードが選べ、変速タイミングなどはライドモードに連動して変わる設計です。
「R 1300 GS Adventure」は過酷なオフロードでの走破性にも定評があるモデルですが、エンストの心配がなくなるため、オフロードでの快適性も向上しているとか。オフロードを走っているとクラッチ操作に向ける意識はオンロードに比べるとかなり大きくなりますから、それを意識する必要がなくなれば、かなり疲労低減には効果がありそうです。
実際「R 1300 GS Adventure」の注文はすでにかなり入っているとのことですが、かなりの割合を「ASA」搭載モデルが占めているとのこと。どんなフィーリングに仕上がっているのか、早く乗ってみたいところです。
>> BMW Motorrad「R 1300 GS Adventure」
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
【関連記事】
◆ツーリングを安全&快適にしてくれるボッシュのバイク向け先進技術が凄かった
◆自動変速はサーキットでも楽しい!ヤマハの看板車種「MT-09」の3モデルを比較試乗
◆バイクの変速は自動化する!? スクーターとは違うスポーティな変速システムを各社が導入
- 1
- 2