■別名“タイプ00”の意味するところは!?
これだけ大胆なデザインをしたのには理由があります。と、ジャガーカーズのブランドデザインダイレクターのリチャード・スティーブンス氏は、そのときの発表会の場で、語りました。
「ジャガーはこのさき、いままで以上にプレミアムな市場を狙っていくつもりです。その市場で存在感を出すには、なににも似ていないことが大事だし、私の意見では、ここまで気分がアガるようなEVはなかったと思います」
このクルマは別名、タイプ00(ゼロゼロ)と呼ばれます。ひとつめのゼロは、ゼロエミッション。製造時における温室効果ガスの排出量ゼロであること。
もうひとつのゼロは、ここがジャガーにとってのリセットであること。ゼロスタートっていってもいいでしょうか。なにしろ、ジャガーは2024年中に、いままで販売していたほとんどのモデルの生産停止を発表しているのです。
■ジャガー創業者のモットー“コピー・ナッシング”
それにしても、デザインは大胆です。デザインの背景について、ジャガーのデザインを統括しているチーフクリエイティブオフィサーのジェリー・マガバーン氏は言います。
「デザインチームが肝に銘じていたのは、創業者のウイリアム・ライオンズによる“コピー・ナッシング(なにも真似しない)”というモットーでした。そして存在感を出すことが重要なのです。ラブ・オア・ヘイト。現段階ではそれでいいと思っています」
デザインビジョンの名のとおり、このままの姿での市販化はないかもしれません。2026年をめどにまず大型4ドアのEVが登場し、そのさきに2ドアクーペも計画もあるとか。現在のところ、それ以上のことは、まだ未定とのことです。
スティーブンス氏もマガバーン氏も、ジャガーEタイプ(1961年発表)を引き合いに出します。Eタイプが発表されたとき、誰も予想していなかったので、まるで未来からのクルマか宇宙船のようだと驚かれたとか。
Eタイプは、世界でもっとも美しいクルマといまも高い評価を受けています。未来の新世代EVも、そこをめざすのでしょうか。期待が高まるではありませんか。
>> ジャガー TYPE 00
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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