■ホームサーバー接続により顔認識AIにも対応
改めてアンカー「Eufy eufyCam S330 2-Cam Kit」の開封後のセットアップから進めていきます。
初期設定は、第一回、第二回と同じく「Eufy Security」アプリを利用。最初に「HomeBase S380」を登録してから、付属のカメラ2台を登録する流れです。登録が済めば他の機種と同じように扱えます。顔認識AI「BionicMind」も利用可能で、家族の顔を登録できます。
まずは録画画質からチェック。付属カメラは4K解像度で録画できるため、昼間の映像は非常に鮮明。135°の広い視野を持ち、1台でカバーできる範囲の広さも十分です。なお、夜間は白黒のナイトモード(デフォルト)と、スポットライトによるカラーも選択可能。
防犯カメラを導入する際、注意すべき最大のポイントが、何をトリガーに録画するか、というビデオ録画の条件です。今回レビューしているアンカー「Eufy eufyCam S330 2-Cam Kit」はカメラ部分の電源がソーラーパネル頼みなので、常時録画は非対応です。デフォルトの状態では、顔認識AI「BionicMind」による録画と、人物検出による録画のみ。なお、録画モードは安全重視で“監視モード”にセットしました。
設置して数日後、「Eufy Security」アプリのイベントタブから録画内容をチェックしてみると、日中は顔認識もよく働きしっかりと識別可能です。人の顔別に分類してくれる面白さもあります。なお、前回、前々回の記事で設置した2台のカメラのビデオも同じ画面から確認できます。
日中も夜間も録画が行われていて、基本的な使い勝手は問題なし…と思いきや、同じく門脇にセットして同じ角度をカバーしてあるTP-Link「Tapo C320WS」の録画ビデオリストと見比べてみると、録画漏れがあることに気づきました。
夜間(早朝)に来る新聞配達のバイクがアンカーの2台のカメラどちらにも映っていません。防犯カメラなのだから不審な動きをすべて録画することを期待しているワケで、「人物として認識できなかったから録画しない」では大問題。
可能な対策として、録画対象を「すべての動体」に拡大した上で、検知感度を最大化。
ただこの設定では道を通る自動車も感知してしまうので、動作検知ゾーンを限定。これで翌朝録画を確認してみると、新聞配達のバイクも裏向きの1台のみは録画できていました。ただ、それでもビデオが残ったのは1台のカメラのみ。素早く動く被写体の動作検知、録画開始までのスピードには課題があります。これはアンカーの防犯カメラすべてに共通しています。
ソーラー発電による、カメラのバッテリー運用もチェックしてみます。
運用スタート時はあえてバッテリーをフル充電せず、2台のカメラを65%/62%の残量でスタート。設置場所は塀の上にある柵で、若干影になることはあってもほぼ1日中、日の当たる恵まれた条件です。
録画イベントは1日あたり30~50件程度で、検証期間中は冬晴れで日差しには恵まれましたが、3日後の状態でバッテリー残量は65%/65%とバッテリーの収支はトントン程度。なお、録画データによる「HomeBase S380」のストレージは3日で20%を占有しました。
ちなみに「Eufy eufyCam S330 2-Cam Kit」には、盗難防止機能もあります。設置したカメラを移動させると、カメラ本体と「HomeBase S380」からアラームが鳴るという、まさに防犯機能。防犯カメラを外そうとする不審者が現れても安心ですね。
* * *
防犯カメラのハイエンド機であり、録画データの保護でも一歩進んだアイテムであるアンカー「Eufy eufyCam S330 2-Cam Kit」。顔認識AIによる判別は来客の記録としても面白い製品です。
ただし、実機をテストしてみると、防犯カメラとしては課題があることがわかりました。録画が動作検知時に限られ、夜間の検知精度が甘く、不審者を録り逃す可能性があること。ソーラーパネルの面積が狭く、バッテリー残量の収支もギリギリという点も心配材料。これらはソフトウエア更新で改善できる余地もあるので、アップデートに期待したいところ。
やや辛口の評価になってしまいましたが、身の安全を守るための防犯カメラは、安全確保の第一歩。「防犯カメラが付いている」と周囲に見せつけることで、不審者に躊躇させることこそ本当の防犯でもあります。
そうそう、ご近所さんへの告知の意味も込めて、防犯カメラによる録画を知らせるシール等も貼っておきましょう。
>> Anker
<取材・文/折原一也 撮影協力/アンカー・ジャパン>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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