まるでBlackBerry! iPhoneに物理キーボード「Clicks Keyboard」を装着。使い心地やいかに

■使い始めた当初は入力に迷うことも…

文字を入力する場面で、ソフトウエアキーボードが表示されず、ハードキーをプチプチと押して入力できます。日本語での解説がなく、アプリも日本語に対応していないので、普段、ローマ字入力を使っていない人は戸惑うかもしれません。筆者も「句読点はどうやって入力するの?」「音引き(ー)は?」「中黒(・)は?」などと迷いました。実際には「日本語かな」モードで入力する場合、123キーを押してから対応のキーを押すと入力可能。2〜3日使っていると、スムーズに入力できるようになりました。

▲同梱の説明書はシンプルで英語のみ

筆者は、ほぼ毎日パソコンのキーボードを使っていますが、こんなにキーピッチが狭いキーボードを使うのは初めて。キーには緩やかな傾斜が施され、ほどよいクリック感が得られるのですが、慣れないうちは少々時間を要しました。正直なところ、時間効率ではテンキーでフリック入力したほうが圧倒的に早いはず。ただし、メールアドレスはスムーズに入力できたので、英文を入力することが多い人は重宝するかもしれません。

▲キーの押し感は良好。筆者は両手でプチプチと入力するのは初体験だったので、慣れないうちには入力に時間を要した。だが、ほどよい硬さがあり、誤入力は少なかった

ちなみに、Clicks Keyboardを付けていても、ソフトウエアキーボードを表示させることは可能。絵文字や特殊な記号の入力にはソフトウエアキーボードを使ったほうが便利だと思いました。

▲ハードウエアキーを使うことで、画面をテンキーで隠さず、広く表示できることもメリット

▲ワンボタンでソフトウエアキーボードを表示させることも可能

 

■快適なクリック感はBlackBerry譲り!?

欧米では、かつてハードウエアキーボードを搭載するBlackBerryというケータイが一世を風靡しました。Clicks Technology共同創設者のひとりであるジェフ・ガッドウェイ氏はBlackBerryの出身。発表会で、取材陣から「最も参考にしたキーボードは?」と聞かれ、「やはりBlackBerry」と答えていました。

▲日本のメディア向けの発表会で、Clicks Keyboardのプレゼンテーションを行ったジェフ・ガッドウェイ氏はBlackBerryの出身

しかし、Clicks Keyboardのターゲットは、Blackberryを知っている世代だけでなく、むしろハードウエアキーボードを使ったことがないZ世代にもアプローチしたいとのこと。実際、ユーザーの約45%はハードウエアキーボードを初めて使う若い世代だそうです。

筆者の周囲で、いち早くClicks Keyboardに触れた人に「どう?」と聞いてみると、意外にも若い世代に評判がよく、飲み会などで友人・知人に見せると、強い関心を示すのは、やはり若い世代でした。デザイン性も含めて、新しいガジェットとして注目を集めているようです。

 

■カスタマイズで利便性が向上

Clicks Keyboardは文字入力以外の機能も有しています。例えば、素早く操作するためのショートカット機能を備えていて、例えば、⌘(コマンド)キー押したままHキーを押すとホーム画面に戻せます。受信メールを読んでいるときは⌘+Rで返信画面に、Safariを使っているときは⌘+Nで新しいタブを開けます。

▲123キーと⌘キーを同時に押すとカーソルモードになり、WASDとIJKLキーでカーソルを動かせるようになる。また、$(ドル)は ¥(円)に変更可能

さらに、iPhoneの「ショートカット」をキーに割り当てることもできます。iPhoneでショートカットを作成し、「設定」→「アクセシビリティ」→「キーボードと入力」→「フルキーボードアクセス」をオンに。「コマンド」でショートカットにキー操作を設定すると登録できます。「Clicks Keyboard」アプリにおすすめのショートカットがまとめられているので、それを活用するといいでしょう。

▲iPhoneのショートカットをキーに割り当てることも可能

▲アプリからおすすめのショートカットを選んでiPhoneに追加することも

▲キーボードのカスタマイズ方法は公式サイトに説明されているが、今のところ日本語化されていない

筆者が使っている中では、例えば「TikTok」のライブのコメント入力にキーボードが使えなかったり、Clicks Keyboardを装着したままでMacに接続するとデータ転送ができなかったりといった不具合がありました。もし、それらが端末個別の不具合でなかったとしたら、今後のアップデートでの改善を期待したいところです。実際、日本のユーザーが増えるのに伴い、ユーザーからの声に合わせて、日本向けのカスタマイズが進むことを期待できそうです。

決して安くない製品なので、買って満足できるか否かは人によって差が出そうです。筆者はテンキーに慣れていて、スマホをできるだけコンパクトに持ち歩きたいので不要派。ですが、Clicks Keyboardの使用感は非常に楽しかったので、普段からQWERTYキーでの入力に慣れていて、iPhoneが多少重くなるのが気にならないのであれば、買って損ナシだと思いますよ。

>> Clicks(本国サイト)

<取材・文/村元正剛(ゴーズ)

村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。

 

 

 

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