単純なようでめちゃ繊細な機構をバルブの先に詰め込んでいると思うと感動しかありません。
プリムスには116gの軽量ボディでありながらハイパワー(4.2kW 3600kcal/h)の名作「ウルトラバーナー」があります。
「ウルトラバーナー」の収納サイズは7.5×8.8×3cm、重量116g。
「インテグストーブ」はバーナーヘッドが大きい分、収納サイズも大きいのですが重量は「ウルトラバーナー」よりもわずかに軽くなっています。これは意外。
「インテグストーブ」のトピックはレギュレーター搭載だけじゃありません。
プリムスのバーナーは炎が外に向かって鍋底全体に広がるものが多いのですが、「インテグストーブ」は内側に集めるすり鉢状ヘッドを採用。X型ゴトクじゃありませんが風にも強くなっています。
炎の出方が変わったので、ゴトクの位置もずいぶん違います。
パッと見ではわかりづらいのですが鍋を載せるとこのとおり。少し高くなった外側の火口でもゴトク(鍋底にあたる部分)と2.5cmほど離れているんです。
これにも意味があって、炎は均一な温度ではなく外側ほど高温という特性を利用するから。同じ出力の炎でもいちばんいいところを使って効率よく鍋に熱を届けられるんです。
■やっぱり4本ゴトクってイイ
気になる操作性ですが、圧電点火装置とワイヤー式のつまみを用いて点火します。
つまみと点火ボタンの向きがちょうど90度になっていて無理なく両手で操作できます。首が長くてヘッドから離れているので、手を添えるのも怖くない。
パワフルな青い炎が立ち上がります。
点火用の電極と火花受け部があり、どうしてもその部分が炎と反応して赤くなりますがこれで正常。安心してください。
ちなみに、スペックは「ウルトラバーナー」の4.2kW 3600kcal/hに達していません。残念に思えますが、実際に使ってみると驚くほど早く湯が沸きます。
それに火力調節がスムーズで、火を絞っていくと最後まで粘る。炊飯みたいに弱火を続けたいときもコントロールしやすい! コレ、結構重要だと思いませんか?
手持ちのクッカーを載せてみました。
燃料缶がすっぽり入るφ14cmのクッカー(容量1.3L)は相性抜群。やっぱり4本ゴトクは安心して使えます。
プリムスと同じスウェーデンブランドのメスティンは17×9.3×H6.2cm。短辺側が載るか不安でしたが、長辺側がしっかり載るのでいい具合に安定しました。
気になったのは「ウルトラバーナー」同様、ゴトクを延長するシステムなのですが、「インテグストーブ」は延長部分の滑り止め刻みが開いたときにしかあらわれないこと。
延長部分をたたんでも水平になるのですが説明書には記載がありません。シェラカップみたいに底が小さいものには対応していないと考え、鍋底の径が約10〜15cmのクッカーを用意しましょう。
名作「ウルトラバーナー」の登場から20年目に生まれた「インテグストーブ」。風にも寒さにも負けず、4本ゴトクを装備して1万円を切るコスパの良さもたまりません。今のところ日本限定ではありますが、新たな名作となる予感。
もちろん、世界一厳しいと言われる日本のガス検査基準を満たしていますよ。
>> プリムス
<取材・文/大森弘恵 撮影協力/イワタニ・プリムス>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X
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