■アルコールストーブの熱を最大限に活かす下段風防の穴!
上下分割式風防の間に、燃料を入れたアルコールストーブをセットしたら準備完了。
あとはマッチなどで着火すればいいんですが、ちょっと待って。
着火前に風向きをチェック!

▲風上に空気孔を向ける
ガスストーブより火力が弱いアルコールストーブでも大容量の湯を沸かせるのは、下段風防の空気孔から入った空気があたためられ、上昇気流でクッカー全体に熱風が行き渡るようになっているから。
空気孔を風下に向けたままだと熱風が下段風防内に溜まって、最悪、本体が溶けたり天板が焼けたりするんです。調理時は目を離さず、風向きが変わったらくるっと回転。

▲燃料満タンで約25分燃焼。横にスライドするフタで火力調整や消火ができる
アルコールストーブは、気圧の低い高所でも雪が降り積もった寒い場所でも、マッチ1本で簡単に着火できるのが最大の特徴です。
液体燃料とはいっても、石油系を使うストーブのように凍えながらポンピングする必要はありません。それに燃焼音がしないので、早朝にコーヒーを淹れるときも気兼ねなく湯沸かしできます。
ただし、イマドキのガスやガソリンのバーナーに慣れていると、細かな火力調節が苦手で消火直後の燃料継ぎ足しできないことに扱いづらさを感じるかも。
「燃焼時間25分。沸騰まで12〜13分だとするとパスタ+コーヒーはいける。炊飯だったらギリギリOKで自動炊飯が可能かも。炒め物なら…」とワクワクしながら計算し、経験を積む。そんな余裕があるのかい?と問われる道具とも言えます。
■細部のデザインがたまらない
「ストームクッカー」は実用性とミニマリズムを重視したデザインで、北欧らしさがプンプン漂います。
シンプルなシルエットで安定感抜群。
機械的なスイッチや劣化が気になる樹脂は不採用。組み立ても力業なんて無粋なことはなく、切り欠きをあわせて回転させるだけ。よほどのことをしなければ壊れません。風向きにあわせて置き方を変えるなんて“アナログな味わい”とも言えるのでは。
ふたつのソースパンのうち、ひとつにはメモリがついています。
円の上端まで水を注げばそれぞれ0.3L、0.5Lになるという意味。あえて線ではないのがトランギアらしさ。
付属のハンドルは1971年から変わらないデザインです。ソースパンの側面にピッタリフィットして両側からがしっとつかむのでグラつきません。
肉抜き部分が見事にシンクロしています。こういう細かな仕事ぶりもアウトドア好きの大好物!
初登場から基本構造を変えることなく愛され続けている「ストームクッカー」。ブランドコンセプトである「Simple and Safe」そのもののストーブシステムです。
>> トランギア
<取材・文/大森弘恵 撮影協力/イワタニプリムス>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。X
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