10. 動画ブースト
「動画ブースト」は、「Googleフォト」でクラウドにアップロードしたデータに対して、明るさや色を自動的に調整しつつ、細部を鮮明にした高画質の動画を作成できる機能です。
撮影時にカメラアプリの設定項目から「動画ブースト」をオンにしておき、撮影後にGoogleフォトからバックアップを実行すればOK。時間が経つと、ブーストを適用した動画を再生できるようになり、その旨が通知されます。

▲「カメラ」アプリの設定から「動画ブースト」をオンにして撮影(左)。「Googleフォト」アプリで撮影した動画を開き、下部右側にあるサムネイルをタップしてバックアップ操作を行う(中)。処理が完了するのをしばらく待つと、「動画ブースト」の印が表示された状態で、動画が再生できるようになる(右)
使ってみて思ったのが、あらかじめ「動画ブースト」をオンにして撮影しておかないといけないため、撮影後の動画に使えないのが惜しい、ということ。そして短い動画でも、機能を実行したり、コンバートした動画を再生したりするのに待ち時間がめちゃめちゃかかるということです。
生成された動画は確かに解像感が上がって綺麗にもなっているのですが、大画面での表示を前提にするような用途でもなく、スマホ上で確認できればいいという場合は、フィルタを変えるだけで十分です。動画クリエーターでもなければ使う必要はないだろうと思います。
実際、対応機種も、上位の「Google Pixel 8 Pro」や「Google Pixel 9 Pro/Pro XL」に限られているので、「ちょっとマニアックな動画機能がある」くらいの理解で問題ないでしょう(というかこのレベルの処理になるとPCでやる人の方が多いかもしれません)。
一方、「夜景モード」を選択した際にも、この動画ブーストを適用して画質をクリアにできます。こちらはシーンによってはクリエーターじゃなくても恩恵があるかもしれませんね。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★☆☆☆
・使いやすさ:★☆☆☆☆
・実用性:★★★☆☆
・自分で使いたい度合い:★☆☆☆☆
・人に勧めたい度合い:★☆☆☆☆
▶︎ひとこと
はっきり言ってクリエーター向け機能なので人を選ぶ。一般向けのレベルなら動画ブーストを使わなくても十分綺麗に撮れる
11. 音声消しゴムマジック
むしろ、筆者が動画関連機能で使いやすいなと思ったのは「音声消しゴムマジック」の方でした。こちらは撮影した動画に対して、簡単な操作でノイズ等をサッと低減できるのがポイント。Pixel 8シリーズから使えます。
Googleフォトアプリの動画の編集画面で「音声消しゴムマジック」を選び、「ノイズ」等を選んで、スライダを調整するという流れになります。

▲「音声消しゴムマジック」をタップ(左)。「ノイズ」をタップ(中)。スライダを調整(右)
例えば、電子ピアノでの演奏をスマホで撮ると、ガチャガチャという打鍵音が大きく入ってしまいがち。しかし、同機能でノイズを低減させれば、完全に打鍵音がゼロになるわけではないものの、さほど気にならないレベルまで調整することができました。これをスマホの操作だけで完結するのはやはり驚きです。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★★☆☆
・使いやすさ:★★★★★
・実用性:★★★★☆
・自分で使いたい度合い:★★★★★
・人に勧めたい度合い:★★★★☆
▶︎ひとこと
「楽器の音」と「ノイズ」を分けられたのには感動!
12. ベストテイク
集合写真に写っている人の表情を、それぞれAIで選択して合成できるという「ベストテイク」も使ってみました。こちらも撮影後にGoogleフォト内の編集機能として実行できます。
2人以上で撮影した同じ構図の写真が、2枚以上あると、「ツール」の欄に「ベストテイク」のアイコンが表示され、これをタップすると使えるという仕組み。人の顔をタップして選んで、さらに候補を選びましょう。
うっかり1枚しか撮影していないと使えないので、何枚かパシャパシャっと撮っておくのがコツですね(というか、公式ブログ等の情報を読まずに、普通に使っているだけだと、このルールに気づかずに混乱することもあるかも…)。

▲「ベストテイク」機能(画像出典:Google Japan Blog)
使い勝手は良いと思います。「Pixel 8」シリーズから使えますし、友人や仕事仲間との飲み会で記念写真を撮る機会が多い人には便利かもしれません。一方、親族が集まるような集合写真だと、意外とみんな表情決めて崩さないので、別の表情選んでもほぼ変わらない…みたいなことも多々。たまに目を瞑ってしまった人を、ほかの表情にカバーしてあげられるくらいの機能だと思っておいてもよいかもしれません。
【筆者の評価】
・楽しさ:★★★☆☆
・使いやすさ:★★★★☆
・実用性:★★★★☆
・自分で使いたい度合い:★★★☆☆
・人に勧めたい度合い:★★★☆☆
▶︎ひとこと
たまの記念写真で失敗しても、すぐカバーできる良機能。ただし、撮影時に同じ構図で何枚か撮っておくのを忘れずに
* * *
いやぁしかし、AI機能はやはり数が多いですね。当然、今回の前後編で紹介しきれなかったものもまだあるはずですし、「AI」と看板に掲げておらずとも実はAIを使っている機能もあるはずです。例えば、今回はピックアップしませんでしたが、ド定番の「Googleレンズ」の翻訳機能を、AI機能として扱うべきか、なども悩ましい。
さらに、今後も続々AI機能は増えていきます。例えば、2025年3月のPixel Drop(Pixelシリーズ向けの機能アップデート)でも、「Pixel スタジオ」、「Pixel スクリーンショット」、 天気アプリのAI 生成を使った天気予報、録音の文字起こし(日本語)の要約などが、追加されるとわかっていますので、こうしたアップデートに対しても、引き続きアンテナを広げておきたいところです。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。X
【関連記事】
◆使わなきゃ損!「Google Pixel」で使えるAI機能をまとめてチェック<前編>
◆25万円超だけどその価値あり!「Google Pixel 9 Pro Fold」は“開くと大画面になるスマホ”です
◆Google Pixel 9のカメラとAIはどう進化した? Proにすべき?実機でチェック
- 1
- 2