【DS 3 パフォーマンス試乗】200馬力超のパワーをMTで堪能。走り痛快の希少品種

改めて、DS 3 パフォーマンス ブラックスペシャルを復習してみましょう。DSは、変わり者ご用達ブランド(!?)たるシトロエンからスピンオフした、これまで以上に尖った層を狙った新しいブランドです。ターゲットは異なりますが、いわばトヨタとレクサスの関係、のフレンチバージョンですね。

“パフォーマンス”は読んで字のごとく、DS 3のハイチューン版を意味します。ノーマルDS 3の1.6リッターターボが、最高出力165馬力、最大トルク24.5kg-mのところ、DS 3 パフォーマンスでは、それぞれ208馬力と30.6kg-mを発生します。ギヤボックスは、3ペダル式の6速MTのみ。スポーティですね。

DS 3 パフォーマンス

さらに、25%以上アップしたパワーをしっかり路面に伝えるべく、フロントにはトルセン式LSDが組み込まれます。駆動力と操舵力がせめぎあってトラクションが逃げがちなハイパワーFF車にあって、力を無駄なく左右に振り分けて、グイグイとクルマを前に進ませるデバイスです。タイヤサイズは205/40ZR18。通常グレードのスポーツシックから、インチアップされています。

DS 3 パフォーマンス

日本に導入されるDS 3 パフォーマンスは、全車右ハンドル。少しだけハンドルのポジションが右にオフセットされているきらいはありますが、それほど神経質になる必要はないでしょう。アルカンターラとレザーとファブリックを用いた凝ったスポーツシートに座って走り始めると、クラッチは拍子抜けするほど軽く、ギヤもまたスムーズで、スッ、スッ、とキマります。

DS 3 パフォーマンス

特徴的なのは、エンジンの力の出方。いかにも過給器付きエンジンらしく、2500回転に達する辺りから、ブッ太いトルクがトコロテンのように湧き出てきます。試しにペダルをベタ踏みし、フラットアウトで全力加速を敢行してみると、1210kgのボディが力任せに引っ張られる感じ。なかなか肉食系の走りです。

DS 3 パフォーマンス

アシは、硬い。さらにバネ下の、薄く大きなタイヤが、路面によってはバタつきがちなので、街乗りオンリーだと、ちょっとストレスが溜まるかも。たまには峠か山道か、はたまたサーキットにでも行かないと!? 「ハイドロシステムに載った、雲のような乗り心地」という、旧シトロエン系のクルマに贈られた定番フレーズは、すっかり遠くなりにけり。

乗り心地がハードでたまげたシトロエンといえば、2004年から日本に導入されたコンパクトハッチ「C2」が思い出されます。ちょうど、シトロエンが「クサラ WRC」をひっさげ、世界ラリー選手権(WRC)で破竹の連勝を始める頃で、C2もラリーフィールドで、WRカーのジュニア版として活躍。そのイメージを活かしたセールスが展開されていました。

DS 3も、シトロエン「C4」からバトンタッチされるカタチで、2011、2012年と、WRCのチャンピオンカーに輝いています。DS 3 パフォーマンスのスパルタン寄りの走りは、WRカーのイメージをストレートに反映させた結果、なのかもしれません。

最近のWRCでは、フォルクスワーゲンの後塵を拝することが多かったフレンチメーカーですが、来季2017年からは、シトロエンの新しい「C3」をベースとした競技マシンを投入するといわれています。マットブラックに塗られたDS 3 パフォーマンスのステアリングホイールを握りながら、同朋シトロエンの結果に一喜一憂するのも、また、楽しいのではないでしょうか。

DS 3 パフォーマンス

<SPECIFICATIONS>
☆DS 3 パフォーマンス ブラックスペシャル
ボディサイズ:L3970×W1730×H1455mm
車重:1210kg
駆動方式:FF
エンジン:1598cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6MT
最高出力:208馬力/6000回転
最大トルク:30.6kg-m/3000回転
価格:399万円

(文&写真/ダン・アオキ)


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