『芋粥』は芥川龍之介が『今昔物語』の中の一話をリメイクし、見事に心理劇として昇華させた短編です。文学史の授業などで習った覚えのある人も多いのではないでしょうか。
超おおざっぱに言いますと、大好きな芋粥を飽きるほど食べてみたい…、と夢想していた平凡な男が、藤原利仁という人に「じゃあ飽きるまで食べさせてやるよ」的な感じで屋敷に招かれます。
そこで予定通り大量の芋粥を供されるのですが、いざドカ盛り芋粥を前にしてみると「あ、なんかもういいや」となって、結局残すという話です。
……いや、もちろん、本当はこんな雑な内容ではありません。芥川龍之介らしい、知的で乾いているのにどこか色気のある筆致や、人間への独特な観察眼、距離感などが大変魅力的な小説です。
ともあれ、ここに出てくる「芋粥」は実は現代人が想像するおイモのお粥とはかなりかけ離れたものです。平安時代によく食べられたものらしく、薯蕷粥(しょよかゆ)とも呼ばれます。
■超カンタン!意外と美味しい“温スイーツ”
- 1
- 2