ふなんこぐいは、10月〜3月の季節限定で出している。サラダや茶碗蒸し、小さなおかずが付いたちょっと贅沢な御膳で提供。ここでのささやかなお楽しみは最後にお茶漬けにすること。これは元来からの食べ方ではなく、ひつまぶしからヒントをもらったオリジナルの食べ方である。
ほぐしたふなんこぐいと、ねぎ、生姜、大根おろしなどをごはんの上に乗せ、和風出汁ベースのお茶を注ぐ。こうすると味に変化が出て、さらさらと食べられてしまう。
ちなみにお持ち帰りも販売している。大根も入り、スープがたっぷり入った状態で真空パックにしているので、温めてそのまま食べられる。懐かしいと買うお年寄りも多いが「若い人に珍しがってもらい、この土地の昔ながらの食文化に興味を持ってもらえたら嬉しい」と新井さんはいう。まだまだ人知れずな郷土料理だが、食べてみれば美味しいという事実と、新井さんの情熱ある行動に、心強さを感じた。
■※ おまけ 佐賀の謎な珍味
>> 道の駅鹿島
佐賀県鹿島市大字音成甲4427-6
0954-63-1768
>> 足湯BARクロニクルテラス
佐賀県嬉野市嬉野町大字岩屋川内甲379 旅館吉田屋
0954-42-0026
>> 味彩あらい
佐賀県神埼市千代田町姉1958-2
0952-37-6217
[関連記事]
ニッポン珍味紀行〜青森県「いがめんち」の魅力を探る
(写真・文/江澤香織)
食、旅、クラフト等を中心に活動。著書『山陰旅行 クラフト+食めぐり』『酔い子の旅のしおり』(マイナビ)、『青森・函館めぐり クラフト・建築・おいしいもの』(ダイヤモンド社)等。酒蔵めぐりをメインとしたツアーやイベント「だめにんげん祭り」主宰。最近は日本海側、発酵食品、イカなどに興味あり。