物語の中盤で、団地の子世代である若者たちが朝から紅茶とサンドイッチでピクニックをするシーンで出てきます。
ハムや野菜、炒り卵など定番サンドイッチに混じって、いきなり「イクラ」! とにかく食べてみなければ。
材料はイクラとパンとバター。さすがに醤油漬けのイクラではアレなので、甘塩イクラを選びました。
またパンは食パンに加え、重くて酸っぱい黒パンも用意しました。これは「キャビアと黒パン」の組み合わせからの連想です。
普通にサンドイッチにします。
……美味しい? のか? いや、よくよく考えるとかなり美味しいです。
というのも、やはりイクラと言えばお米とセットの味が叩き込まれているので、少し面喰らうのです。
しかし一瞬の違和感の壁を突破すると、バターの塩気、イクラの艶めかしさ、パンの香ばしさが渾然一体となってなかなかいい感じ。
ただしパンはミルキーなものや、甘いものは避けた方が良さそうです。食パンでも、なるべくそっけない味のものを選びましょう。
また黒パンのイクラサンドは文句なしに絶品!
噛みしめるライ麦の旨味と、イクラのプチプチした食感が完璧に合っています。ホームパーティーのフィンガーフードなどにも使えそうな逸品です。
ちなみに『白と黒』ですが、団地に住む人々の秘密を暴く怪文書、美貌のマダムの悲惨な死、キーワードとなる「白と黒」が意味するところは……。
などなど、絡み合う謎がとても面白い作品です!
【参考・引用元】
>> 横溝正史『白と黒 金田一耕助ファイル18』(KADOKAWA)
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(取材・文/くぼきひろこ)
美食・カルチャー・ライフスタイル・クルマ・ゴルフ・巷の美女etc……対象は様々に、雑誌・ウェブサイト等の各種媒体にて活動中のフリーライター。「人の仕事のすべて。そして、その仕事から生み出されるすべてのモノゴトが面白い!」と津々浦々の興味津々で取材・執筆を行う。
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