【シトロエン C4 カクタス試乗】探せばまだある!?クルマ好きを魅了する個性派の真価とは?

写真からはキュートで愛らしいイメージを受けますし、ボディサイズも全長4155mm、全幅1735mm、全高1530mmとコンパクト。そうした先入観を持ってC4カクタスに対面すると、ルーフを低めに抑えた“チョップトップ”風のウインドウデザインや、車体の四隅に配置された17インチサイズのホイールもあいまって、思いのほかワイルドに感じられます。

シトロエン C4カクタス

何より、デザイン上のアクセントであるボディサイドの“エアバンプ”と呼ばれる衝撃吸収パネルが「ちょっとしたキズなんて気にすんなよ」といっているようです。このエアバンプ、凹凸のある樹脂製パネルの中に衝撃を吸収するエアカプセルが内蔵されており、駐車場でのドアパンチやショッピングカートなどによるキズつきを防いでくれます。そんな実用性もさることながら、すぐにでもキャンプやピクニックに連れ出したくなるようなワクワク感&道具感にあふれたデザインだと思います。

シトロエン C4カクタス

この“胸がときめく感じ”は、運転席に収まり動き出しても変わりません。と、その前に、ドアを閉めようとインナーハンドルに手を掛けた瞬間「芸が細かいなぁ、シトロエン」と、思わず笑みがこぼれます。そう、グリップ部が旅行用スーツケースの持ち手のような形状になっています。ほかにも、助手席ダッシュボード上部の小物入れにも同様のあしらいが施されるなど、旅行カバンをイメージしたデザイン上の遊びが感じられます。

シトロエン C4カクタス

シトロエン C4カクタス

フロントシートは、一見するとベンチタイプに見えますが、左右が独立したセパレートタイプで、センター部分にはアームレストとサイドブレーキが備わります。掛け心地はというと、しっとりとお尻と背中を包みこむような感触。近年、主流となっている反発力の強いタイプではなく、往年のシトロエンファンも納得というソフトなタッチ。とはいえ、コーナリング中に体が動いたり、長距離走行で体のどこかに負担が掛かったりするようなことはありません。

シトロエン C4カクタス

シトロエン C4カクタス

リアシートはというと、足元、頭上とも余裕のあるスペースが確保されており、大人4名での長距離移動でも窮屈に感じることはありません。一方、リアのサイドウインドウが横開きのチルト式となるなど、後席まわりの装備は極めてシンプル。ともすれば、ベーシックカー的な寂しさを感じそうですが、シトロエン「2CV」的な発想で「シンプルでイイんじゃないの!」と思ってしまうのは、クルマ好きの贔屓目でしょうか。

シトロエン C4カクタス

こうした装備の簡素化が大きなメリットとなって現れているのが、車体の軽量化です。今回、導入された1.2リッターモデルの車両重量は、わずか1070kg。このクラスのクロスオーバーモデルとしては、かなり軽量。1リッターエンジンを積むコンパクトカー級の重量に仕上がっています。

直列3気筒エンジンの排気量は1199cc、最高出力は82馬力、最大トルクは12.0kg-m。スペックだけ見ると物足りなさを感じるかもしれませんが、軽量ボディのおかげで想像よりもかなり活発に走ります。絶対値がわずか82馬力ですから「スポーツカーをカモってやる!」なんてコトはできませんが、ステアリングに備わるパドルでシフトアップ、ダウンしながらワインディングロードを走るのは、かなり痛快です。

シトロエン C4カクタス

もちろん、オートマチックモードで走っていても、ブレーキングに合わせて「プワン」とタイミングよくシフトダウンしてくれるので、ワインディングロードもテンポよく走ることができます。一方、スタートダッシュの際に大きくアクセルを開けると、1速から2速へのシフトアップ時に「ウウーン…」という“半クラ”状態がやや長めに感じます。シフトショックを軽減するためには必要なアクションかな、と思いますが、その他のシチュエーションではキビキビと巧みに変速してくれるので、相対的にちょっと気になるポイントかもしれません。とはいえ、通常のストップ&ゴーはソツなくこなしてくれるますし、燃費も15~16km/L(車載燃費計)は走ってくれるので、軽量化による効果はかなりのもの、といえるでしょう。

乗り心地の良さに関しては、さすがはシトロエン! エアスプリングと油圧シリンダー、油圧ポンプを組み合わせた、ハイドロニューマチックサスペンションを積んだ往年のモデルのように“ふんわりフラット”な感じとはやや異なりますが、ゆったりソフトな乗り心地を味わえます。コーナリング時も、ステアリングを切るのに合わせてスイッとイン側を向きますし、「おっと、思ったよりコーナーの奥が深かった…」という時でも、絶妙の粘り腰でクリアする、いかにもシトロエンらしい味付けです。

といった具合に、C4カクタスはシトロエン未経験のオーナーから、熱心な“ダブルシェブロンファン”までをもニヤリとさせる、コンパクトクロスオーバーの傑作に仕上がっています。もちろん、後席の使い勝手や装備面でもうひと声、という方もいらっしゃるかと思いますが、このクルマでしか味わえない楽しさがあるのも事実です。

その辺りはぜひ、ご自身でお確かめを…、といいたいところですが、実はファーストロットの200台は、すでに完売の模様(ディーラーで在庫している可能性はありますが)。輸入元のプジョー・シトロエン・ジャポンによりますと、第2弾の輸入予定もアリとのことなので、気になる方はインポーターやディーラーに状況をうかがってみてはいかがでしょうか?

ちなみに、ヨーロッパ仕様には1.6リッター直4ディーゼルや、滑りやすい路面での走行をサポートする“グリップコントロール”付きモデルも用意されています。どんな仕様でやってくるのか、セカンドロットの中身にも期待したいところです。

シトロエン C4カクタス

<SPECIFICATIONS>
☆C4カクタス
ボディサイズ:L4155×W1735×H1530mm
車重:1070kg
エンジン:1199cc 直列3気筒 DOHC
トランスミッション:5速ETG
駆動方式:FF
最高出力:82馬力/5750回転
最大トルク:12.0kg-m/2750回転
価格:238万円(ベロアシート仕様は241万円)

(文&写真/村田尚之)


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