【試乗】“駆け抜ける歓び”はバイクも健在!先進的なBMWモトラッドの真価とは?

水平対向2気筒エンジン、というイメージが強いBMWのモトラッドですが、並列の4気筒エンジンを搭載したモデルも高性能なんです。その代表といえるのが、1000ccエンジンを搭載するスーパースポーツ「S1000RR」。

2009年に初代モデルが発売され、同カテゴリーを得意とする日本のメーカーを相手に、レースシーンでも日本車に割って入る実績を残しています。ちなみに現行モデルは、3世代目に当たります。

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このモデルの特徴は、199馬力の最高出力を誇る並列4気筒エンジンだけではありません。そのパワーを余すところなく路面に伝えるために搭載された“ダイナミック・トラクション・コントロール(DTC)”や、電子制御のセミアクティブサスペンション“DDC”、それに、バンク角を検知して効き方を制御するABSなど、最新の電子制御技術を総動員している点がこのマシンの真骨頂です。

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ライディングポジションは、スーパースポーツマシンらしく、レースへの参戦も意識した前傾姿勢。低く垂れたクリップオンハンドルも気分を盛り上げます。試乗車はオプションの、スロベニア共和国・アクラポビッチ社製のマフラーを装着しているので、排気音も迫力あるものでした。

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電子制御の塊、というようなマシンであるにも関わらず、クラッチはワイヤー式。でも、現代のマシンにしてはちょっと重めのクラッチをつないで走り出すと、変速操作はクラッチを握らずにできてしまいます。シフトレバーを操作すると、自動的に点火を間引いて変速可能にする“シフトアシストPro”が装備されているためです。

スロットルも、100%電子制御のドライブ・バイ・ワイヤ式。前述したDTCと相まって、ラフなスロットル操作をしても路面のグリップやギヤの段数、バンク角などを計算し、最適なトラクションを路面に伝えてくれます。

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手元の操作で、エンジン特性だけでなく、DTCやDDC、それに、ABSなどの効き方までを簡単に変更できる“ライディングモード”も搭載。「レイン」「スポーツ」「レース」の3種類に加え、サーキットでは「スリック」と「ユーザー」のモードも選べます。

試乗したのは公道だったので、正直なところ、一番おとなしいはずの「レイン」でも十分過ぎるほどの性能。1速でもアクセルを全開にするのは躊躇してしまうほどのパワーです。そして、その程度のスロットル開度でも、4000回転を過ぎた辺りから排気音が変わり、ちょっと身の危険を感じるほどの勢いで車体を加速させてくれます。

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コーナーでのビタッと路面に貼り付いているかのような安定感。ちょっとやそっとの荷重移動ではバンクしてくれないほどの安定感ですが、そのバンク角でもいつの間にか向きが変わってコーナーを抜けてくれます。フルバンクさせようと思ったら、サーキットに持っていかないと無理ですね。でも、このバイクでフルバンクが必要な速度って、どのくらいなんでしょう? 思わず考え込んでしまうほどの安定感です。

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そして、一番感心させられたのがブレーキ。ブレンボのラジアルマウントキャリパーをダブルで装着していますが、効きが良いのはもちろん、低速でもとってもコントロールがしやすいのです。指を1本引っ掛けておくだけで、フロントタイヤがどれくらい路面に押し付けられているのかまで伝わってくるような感覚です。ブレーキだけでなく、サスペンションや車体とのバランスまでしっかり作り込まれているのが感じられます。

しかも、バンク角まで計算して効き方を調整してくれるABSが搭載されているので、バンク中にフルブレーキしても転ぶことはないそうです(実際に試してみる勇気はありませんでしたが…)。このブレーキだけでも、218万円という価格の理由が分かるような気がしました。

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■ヤンチャなストリートファイター「S1000R」

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