全体に丸みを帯びたラインが強調され、どちらかというとキュートな雰囲気を強調したルックスのザ・ビートルですが、Rラインは一見して引き締まった印象を受けます。ブラックにペイントされたサイドスカートとホイールアーチのモール、それに、リアに追加されたスポイラーがその要因でしょう。前後バンパーのデザインも専用のものです。
ホイールは、1.4リッターが17インチ、2リッターは18インチを装着。ややスポーティなデザインのホイールも、精悍な印象を強めています。
インテリアもブラック基調で統一された専用のもので、乗り込んだ瞬間からちょっと気分を引き締めてくれます。ステアリングは3本スポークの革巻きで、ダッシュボード上には油温計、ブースト計、ストップウォッチの3連メーターが装備されています。
2.0 Rラインのパワートレインは、2リッターのターボ。211馬力の最高出力を誇り、ザ・ビートルシリーズでは文句なしに一番パワフルな心臓部です。
組み合わせられるトランスミッションは、6速のデュアルクラッチ式(DSG)。この構成は、あの「ゴルフ GTI」と基本的には同じもの(最高出力はゴルフ GTIの方が5馬力強力)といえば、このモデルの“熱さ”が伝わるでしょうか。
エンジンをかけると、専用となるクローム仕上げのツインエキゾーストからかなり元気の良い音が排出され、否が応にも気分が高まります。
走り出すと、低回転域でも排気量に応じたトルクの厚さを感じるものの、楽しいのはそこからもう少しアクセルを踏み込み、タコメーターの針が2500回転を超えた辺りから。二次曲線的にパワーが立ち上がり、一気に車体を加速させてくれます。そのパワーの出方は、その昔よく使われた“ドッカンターボ”という言葉を思い出すほど。実際は、そこまで過激な特性ではありませんが、気分を盛り上げる味つけになっています。
足回りも結構固められている印象。標準モデルより10mm広げられた全幅と、235/45R18サイズのタイヤがしっかりと踏ん張っている感じが伝わってきます。タイヤが拾った情報をきっちり全部ドライバーに伝達してくれるので、逆にいえば、細かいギャップや路面の継ぎ目などを越えた際は、ちょっと跳ねられる感じ。ちょっと昔のチューニングカーっぽい味わいといえるでしょうか。ただし、そうしたショックもすぐに収束。この辺りはやはり、メーカー純正のチューニングといった仕上がり。でも、あまり優等生過ぎない味つけが、個人的にはとても好みでした。
一方、1.4リッターの直噴ターボエンジンを搭載する「Rライン」もラインナップされています。同社の「ゴルフ」や「パサート」にも搭載されるパワートレインですが、意外なことに、ザ・ビートルシリーズに搭載されるのは限定車以外では初めて。1.2リッターエンジンを搭載する「Base」や「Design」と、2.0 Rラインの間を埋めるモデルといえます。最高出力は150馬力で、最大トルクは25.5kg-m。ブレーキエネルギー回生システムを採用しており、燃費は18.3km/Lとなかなか良好です。
Rラインの価格は294万5000円と、2.0 Rラインの345万9000円とは50万円超の差があります。悩ましい選択ではありますが、ザ・ビートル最速の走りを味わいたいのであれば、Rラインの称号にふさわしい爽快な加速など、胸を熱くする走りを楽しめる2.0 Rラインに軍配が上がると思います。
<SPECIFICATIONS>
☆2.0 Rライン
ボディサイズ:L4285×W1825×H1495mm
車重:1380kg
駆動方式:FF
エンジン:1984cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:211馬力/5300~6200回転
最大トルク:28.6kg-m/1700~5200回転
価格:345万9000円
(文/増谷茂樹 写真/&GP編集部)
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