例えば、一般的な床掃除ロボットには「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)」という技術が使われています。要するに、ロボット自身がどこにいるのかを把握しつつ、周囲の環境情報を同時にマッピングしていくシステムです。
一方、Tangoでベースになる技術は「VSLAM(Visual Simultaneous Localization and Mapping)」と呼ばれます。端末が動くと、動画像を解析して、写っている物体の特徴点を抽出します。それをリアルタイムで追跡し、物体との相対的な位置を見ながら位置情報を検出。これにより、壁や地面、物体を感知できるのです。
ちなみにPHAB2 Proでは、移動を9軸の「慣性計測装置(IMU)」が検出します。これをモーショントラッキングカメラで検出した情報で補正することで、解析の負荷を低減しているそうです。
■使うときに気を付けることは?
こうした測定は、特徴点が検出しづらい場所(つまり白い壁がずっと続くところや、薄暗いところ)では上手く動作しない場合もあります。また、光の変化が激しい環境や、移動スピードが速い環境も同様です。
加えて、奥行の検出には、赤外線が利用されています。赤外線の到達距離の関係により、4-5mの距離では高い精度で測定できますが、それ以上離れるとだんだん精度が落ちます。
■将来的にはGoogleマップとの連携も
Tangoには、空間データを保存する機能が実装されています。そして、すでに保存されている空間データと検出した現場がマッチする場合には、Tangoは保存された情報を利用して自身の位置を特定できます。
将来的な利用方法としては、「GoogleマップでナビゲーションしていてGPSが途絶えると、Tangoに切り替わる」なんてことが可能です。現実と融合したナビゲ―ションも実現できるでしょう。地下鉄の案内や、店舗内での商品情報案内などへの活用が見込まれています。現在はシンガポールがパイロットシティとして位置づけられています。
2016年には、HUAWEI P9やiPhone 7 Plusなどダブルレンズを搭載する機種が流行しましたが、今後はトリプルレンズ搭載の端末が増えてくるかもしれません。
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(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。