工場見学以外にも、富士通が推し進めている教育、家電連携などさまざまなソリューションのデモも行われたのだが、そのなかでも特に筆者が感銘を受けたのが歴代パソコンの展示だ。
まずは1981年に発売した富士通初のパソコンで、世界で初めて64ビットRAMを搭載したという「FUJITSU MICRO 8(FM-8)」。筆者が兄2人と一緒になって、生まれて初めて買ったパソコンだ。希望小売価格は21万8000円で、グラフィック解像度は640×200ドット、カラーはなんと8色……。
漢字を表示するためには別売の「漢字・非漢字ROM」が必要だったり、フロッピーディスクドライブが別売だったりと、今のパソコンと比べると信じられないほどの低スペック(まあ当然の話だが)だが、当時としては画期的な性能を誇っていたとのことだ。カセットテープを利用したデータレコーダーで、数分から数十分かけてプログラムなどのデータの読み書きをするなど、牧歌的な時代だったことを今でも思い出す。
しばらくは先述のように他社のパソコンに目移りしたりしたものの、次に舞い戻ったのが1989年(平成元年)発売の「FM TOWNS」だった。
こちらは世界で初めてCD-ROMドライブを搭載したという画期的なもので、オプションでハードディスクの内蔵も可能。日本ソフトバンク(当時)が販売していたFM TOWNS専門誌「Oh! FM TOWNS」(それ以前は「Oh! FM」だった)なども販売されていた。また、今や企業システムなどで当たり前のように使われている「Linux OS」をFM TOWNSに導入する「Linux/TOWNS」がコミュニティーで話題になるなど、かなりマニア色が強くなっていったのだが、1993年にいわゆる「IBM PC/AT互換機」、つまりWindows機に移行して独自路線が終了したのだった。
そんな個人的なノスタルジーに浸りながらで恐縮だが、最新のパソコン工場見学ツアー体験記を締めさせていただきたい。
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(取材・文/安蔵靖志)
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。総合情報サイト「日経トレンディネット」、「NIKKEI STYLE」などで執筆中。近著は「予算10万円以内! 本気で原音を楽しむハイレゾオーディオ」(秀和システム)。KBCラジオを中心に全国6放送局でネットしているラジオ番組『キャイ~ンの家電ソムリエ』にも出演中。