【試乗】これぞ完璧なる移動体!ベンツCLS220ブルーテック

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2.2リッターのディーゼルターボをひと言でいえば、実にスマート。チカラもありますし、素直に加速してくれます。「アクセルペダルに対する反応が眠い」といった不満もありません。

最高出力は177馬力と、スペックこそ頼りなく見えますが、40.8kg-mの厚いトルクを活かして低回転で巡航できるため、車内は終始リラックスした雰囲気。快適とはまさに、こういう状態をいうのではないでしょうか。

それでいて、フットワークは軽快。CLSの日本仕様はこれまで、V6やV8といった、重たいエンジンを搭載した仕様しかなかったんですが、重いディーゼルエンジンとはいえ、そこは4気筒。鼻先が軽くなり、全体的にクルマが身軽になった印象です。

おまけに220ブルーテック、お財布にも優しいんです。400km以上ドライブして、時にはアクセルを深く踏み込んで走りを楽しんだにもかかわらず、実用燃費は12.7km/リッター。ここだけの話、同じタイミングに乗ったどこかのハイブリッドカーよりも良かったほどです。

しかも当然のごとく、燃料は軽油。レギュラーガソリンと比べてリッター当たり25円くらい安いわけですから、ランニングコストを比べたら、下手なハイブリッドカーなんて凌駕しちゃいます。

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そんなCLS220ブルーテックで、平和に、リラックスした雰囲気でドライブを楽しんでいたんですが、そうしたムードを一変させるような場面に出くわしました。

高速道路の分岐で、直前を走るクルマがウインカーを出して支線に出て行きました。先を急ぐわけでもないのですが、ディーゼルの気持ちいい反応を味わいながら、視界の開けた緩やかなカーブを加速していたのです。

すると、どうでしょう。先ほどのクルマが進路を間違えたことに気づいたのか、いきなりウインカーも出さずにこちらの車線へ戻ってきたのです。

反射的にガッツリとブレーキを踏みました。しかも、ステアリングを切ったまま、です。

ヘタをすると、姿勢を崩してコントロールを失うような場面なのですが、CLSは涼しい顔でギューッと危なげなく減速。姿勢が乱れるどころか、ドッシリと構えてドライバーに不安を与えることもありませんでした。

こういうところこそ、メルセデスらしい瞬間だと思いました。同時に、ドライバーが何者であるのかなど、メルセデスは興味すらないのでは? と。誰がステアリングを握っていようが、完璧な移動体として常に機能するのが、メルセデスなのでは…。そんな思いが強まります。

ステアリングは方向を変えるためのもの。アクセルは加速するためのもの。ブレーキは減速するためのもの。正しく曲がる、加速する、停まるために、ドライバーの技量をいちいち品定めするようなことがありません。

例えば、コーナーの進入でブレーキング。フロントに荷重が移るのを意識しながらステアリングを切り、サスペンションが沈んでクルマの姿勢が整ったところでアクセルオン。後輪のトラクションを感じながらグリグリと旋回しながらコーナーを脱出する…。

やっても構いませんが、そんなことは期待されていないのです。コーナーの入り口でブレーキング、減速。ステアリングで方向転換。アクセルオン。どんなスキルのドライバーが乗っても満足がいくよう、高いレベルの走る、曲がる、止まるが、メルセデスには約束されているのです。いちいちドライビングテクニックなどを求めません。

少しオーバーな究極の移動体。クルマがクルマとして完璧に機能することを求める時、最高の選択肢のひとつになります。

しかもCLSなら、セダンでもないクーペでもない、既成概念から解き放たれたドライバーであることを印象づけられそう。おまけにエンジンは、スムーズ・パワフル・快適と、三拍子そろった最新鋭のディーゼルエンジン。

コレは、実に好都合な1台だと思いました。

<SPECIFICATIONS>
☆CLS220 ブルーテック
ボディサイズ:L4940×W1880×H1415mm
車重:1840kg
駆動方式:FR
エンジン:2142cc 直列4気筒ディーゼルターボ
トランスミッション:7速AT
最高出力:177馬力/3200-3800回転
最大トルク:40.8kg-m/400-2800回転
価格:765万円

(文&写真・ブンタ)

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