販売開始から1カ月で1万6000台を超える受注を得た新型CX-5ですが、現在のエンジンラインナップはというと、2リッターと2.5リッターのガソリン、2.2リッターのディーゼルという3種類。これに、装備の違いによるグレードと、2種類の駆動方式(FFと4WD)が設定されており、全12モデルが用意されています。
その組み合わせはというと…
●“スカイアクティブG”2リッターガソリンエンジン搭載車
20S(FF)
20S プロアクティブ(FF)
●“スカイアクティブG”2.5リッターガソリンエンジン搭載車
25S(4WD)
25S プロアクティブ(4WD)
25S Lパッケージ(FF/4WD)
●“スカイアクティブD”2.2リッターディーゼルエンジン搭載車
XD(FF/4WD)
XD プロアクティブ(FF/4WD)
XD Lパッケージ(FF/4WD)
ちなみに価格設定は、最もベーシックな20Sの246万2400円から、ディーゼル+4WDの最上位グレード、XD Lパッケージの352万6200円まで、という設定。そのうち、今回試乗したのは、2リッターの上位グレードである20Sプロアクティブで、価格は268万9200円となります。
ボトムグレードではないものの、価格を知ると「装備面は充実してるの?」と思ってしまいますが、安全装備はなかなかの充実ぶり。マツダの先進安全技術“iアクティブセンス”が搭載されており、ブレーキを自動制御して衝突回避をサポートする“アドバンストSCBS”、先行車を検知して設定した車間距離や速度を調整する“マツダレーダークルーズコントロール”なども標準で備わります。
インテリアも見ても、一般的な快適装備はひととおり備わりますし、レザーシートこそ選べませんが、運転席パワーシートもオプションで用意されます。また、専用SDカードを購入すれば、ナビ機能を使える7インチのセンターディズプレイも標準となっています。
SUVとしてはかなりお買い得なのでは? と思いつつ、スペックシートや装備一覧を眺めますが、やはり気になるのは「2リッターのガソリンエンジンでは力不足なんじゃないの?」という不安と「駆動方式はFFのみの設定」ということでしょうか。
確かにボディサイズは、全長4545×全幅1840×全高1690mmとなかなか立派。長いノーズや抑揚の利いたボディライン、凛々しい顔つきもあって、街中でも存在感を発揮します。一方、後輪用の駆動系を持たないこともあり、車両重量は1550kgと、ディーゼル+4WDモデルに比べて110kgほど軽く仕上がっています。
実際、走り出して真っ先に感じたのは、車体の“軽さ”でした。2.2リッターディーゼルは、最高出力175馬力、最大トルク42.8kg-mというスペックで、発進から高速道路における追い越しまで、強大なトルクを生かしてグイグイと加速していきます。一方、2リッターのガソリンは、最高出力155馬力、最大トルク20.0kg-mとスペックこそ平凡に映りますが、出来のいい6速ATのサポートもあって、街中のストップ&ゴーでも歯がゆい思いをすることはありません。クルマの動きすべてが軽やかですし、その気になれば、信号からのスタートで周囲をリードすることも可能です。
とはいえ、2リッターモデルで最も気になるのは、パワーの差が顕著に現れるであろう高速巡航や長距離ドライブかもしれません。ちなみに、100km/h巡航時のエンジン回転数は、2500回転ほど。近年、ATの多段化によって2000回転を下回るクルマも少なくありませんから、やや高めの設定といえるでしょう。となると、車内の騒音が気になるところですが、新型CX-5は静粛性の向上も大きな開発テーマであっただけに、不快な騒音を感じることもありませんし、音量自体もかなり控えめです。
もちろん、アップダウンの多い東北自動車道や中央自動車道などでは、ショックこそ感じませんが頻繁にギヤチェンジするので、それが気になる、という方もいらっしゃるかと思います。それを活発、軽快と感じるか、ちょっとわずらわしいと感じるか、好みが分かれるかもしれません。
また、それだけエンジンが回っていると「燃費はどうなの?」と気にされる方もいらっしゃるかと思いますが、市街地と高速道路をほぼ半分ずつ、約500km走った結果、車載燃費計が示したのは13km/Lという値。今回はゆったり流すという乗り方ではありましたが、車重1.5トン、2リッターの自然吸気エンジンというスペックを考えれば、十分に優秀といえるのではないでしょうか。
乗り心地は、高速道路、一般道ともに、ディーゼル+4WD仕様に通じるしっとりと上質なフィーリング。ちなみに、CX-5はハンドル操作に応じて駆動トルクを制御する“G-ベクタリングコントロール”を全車標準装備し、大きめのボディサイズを意識させない快適かつスムーズなコーナリングを実現していますが、高速道路でのレーンチェンジや首都高速などでは、2リッターモデルはかなり軽快な身のこなしを披露してくれます。本音をいうと、標準装着される225/55R19という大径タイヤ+ホイールはトゥーマッチなのでは? と気にしていたのですが、乗り心地や騒音においても、ネガティブな部分はありませんでした。
さて、SUVという生い立ちを考えると、雪道や悪路での走破力も気になるところではありますが、残念ながら今回は、そうしたシチュエーションに遭遇することはありませんでした。もちろん、降雪地帯にお住まいの方やオフロード走行を伴うアウトドアレジャーにご使用される方であれば、4WD仕様が有力候補かもしれません。しかし、ゆったりと長距離ドライブを楽しむことが多いという方や、ファミリーで使える程良いサイズのサルーンをお探しの方にとっては、CX-5の2リッターモデルは“要検討リスト”に入れるべき1台といえるでしょう。何しろ、SUVならではの使い勝手の良さや乗りやすさはもちろん、お手頃な価格をも実現しているのですから。
<SPECIFICATIONS>
☆20S プロアクティブ
ボディサイズ:L4545×W1840×H1690mm
車両重量:1550kg
駆動方式:FF
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC
最高出力:155馬力/6000回転
最大トルク:20.0kg-m/4000回転
トランスミッション:6速AT
価格:268万9200円
(文&写真/村田尚之)
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