【スバル XV試乗】街も野外も全域がプレイフィールド!走りで選べば2リッターが◎

今回の試乗会は、スキー場を中心とするクローズドコースが舞台。アウトドアリゾートの雰囲気とクロスオーバーSUVという、まさにぴったりの組み合わせですが、開発に当たっては“街の中でこそ映える使いやすいSUV”というのも重要なテーマだったそうです。

近年、大型化が進む同カテゴリーのクルマたちですが、ボディサイズは全長4465mm(先代比でプラス15mm)、全幅1800mm(同プラス20mm)、全高1550mmと、従来型のそれをほぼキープ。これなら確かに、街中での取り回しで苦労することはなさそうです。また、インプレッサに比べて70mmアップとなる1550mmの全高も、立体駐車場への出し入れに差し支えのない設定となっています。

とはいえ、XVはこのプラス70mmの車高に加え、インプレッサよりもひと回り大きいタイヤ&ホイール、フェンダーの樹脂製モールや前後バンパーの黒い樹脂パーツを備えており、スポーティさとカジュアルさがグッと強調された、SUVらしいルックスを手に入れています。

実は、従来モデルではインプレッサ主導で開発され、XVはあくまで派生モデルというポジションでした。しかし新型の開発は、基本、同時並行、部位によってはXV先行で進められたとのことで、その分、両車のキャラクターがより明確になったのは間違いないでしょう。しっかり個性が感じられる新型XVのエクステリアは、その象徴かもしれません。

また、新型XVは、スチール製の外板パネルはもちろん、新世代プラットフォームである“スバル・グローバル・プラットフォーム”など、基本構造もインプレッサと共有しています。つまり、70mmの車高アップ分は、そのまま最低地上高がアップしているということ。実際、インプレッサの最低地上高は130mmですが、XVはというと、大型クロスカントリーSUVにも匹敵する200mmを確保しています。“街の中でこそ映える…”なんていいつつ、SUVとしての基本性能もバッチリ抜かりなく…、というところに、スバルらしさを感じます。

ちなみに、室内空間やユーティリティもしっかり進化。例えば、リアシートの足もとスペースは先代比で26mm拡大しています。数字だけ見れば「なんだ、その程度か…」と思うかもしれませんが、従来モデルから乗り換えると、前後シートとも肩回りや頭上スペースが広々としていますし、シートクッションの感触もしっとり上質になっており、上半身のホールド感も向上しています。

また、ラゲッジスペースの容量も先代モデル比で5リットル拡大。さらに、リアゲートの開口部が100mmワイドになったこと、荷室フロアの形状見直しなどにより、実際の積載性や荷物へのアクセス性が向上しています。

例えば、リアシートを倒すことなく、4名分のデイキャンプ用品を積み込めますし、後方視界を遮ることなくゴルフバッグ3個を積載できるようになりました。レジャーユースを前提となるSUVですから、こうした実用的な改良はありがたいと感じる方も多いことでしょう。

さて、XVに搭載されるエンジン、ギヤボックスは、基本的にインプレッサのそれと共通です。つまり、水平対向4気筒の1.6リッター(115馬力/15.1kg-m)と2リッター(154馬力/20.0kg-m)に、“リニアトロニック”と呼ばれるマニュアルモードの付いたCVTが組み合わされます。一方、XVの駆動方式は、インプレッサに設定のあるFFは用意されておらず、路面や走行状況に応じ、前後輪に最適なトルク配分を行う“アクティブトルクスプリットAWD”のみの設定となっています。

となると、気になるのは価格設定。「AWDのみだと、やっぱりお高め?」と思われるかもしれませんが、ご安心を。インプレッサの同等グレードと比較すると…。

インプレッサ(AWD)/VX
1.6i-L:198万円/208万円
2.0i-L:220万円/230万円
2.0i-S:240万円/248万円

といった具合に、プラス8万円から10万円に収まるという、戦略的な価格を実現しています。

さらに、XVにはインプレッサに設定のないエントリーグレード「1.6i」が用意されているのですが、こちらはなんと198万円。パドルシフトが備わらないなど、内装関連の装備品が簡略化されているものの、安全装備の“アイサイト(ver.3)”や歩行者保護エアバッグといった、スバル最新の安全装備は標準装備となっています。

レジャーでガンガン使うことを前提に「初期費用をちょっとでも抑えたい」という方には1.6iもアリかと思いますが、私としては、差額を考慮してもなお、2リッターモデルをオススメしたいと思います。

わずかとはいえ、2リッター車が1.6リッター車よりも燃費が勝る、というのも理由ですが、オンロードのストップ&ゴーはいうに及ばず、ワインディングロードでもキャラクターに見合った活発な走りを楽しめますし、遮音性についても1枚上手、というのがその理由です。

そして、セレクトの決定打となったのはオフロードでの走破力なのですが、こちらについては追って、詳しくレポートしたいと思います。

<SPECIFICATIONS>
☆2.0i-L アイサイト
ボディサイズ:L4465×W1800×H1550mm
車両重量:1420kg
駆動方式:AWD
エンジン:1995cc 水平対向4気筒 DOHC 16バルブ
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
最高出力:154馬力/6000回転
最大トルク:20.0kg-m/4000回転
価格:248万4000円

(文/村田尚之 写真/村田尚之、SUBARU)


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