■パクチーとワインも合う
赤ワインに続いて、オーストラリアのロゼワイン「Cinsault Grenache Rose 2015 Smallfry Wines」が登場しました。南仏でよく使われるサンソーとグルナッシュというブドウ品種を自然酵母で発酵させています。うまみがたっぷり乗った、しっとり滋味なロゼワインは、トマトソースがよく合いました。トマトソースはトロリンガーの赤ワインにもgood。ワインの色とフードの色を合わせると、マリアージュの失敗が少なくなります。
お次はパクチーを添えたラム肉の餃子です。ラムは肩肉を使い、粗く挽かれています。ラムは独特のクセがありますが、外側がカリッと香ばしく焼かれ、タイムやローズマリーなどのハーブを混ぜているので、クセをあまり感じません。
ラムの焼き餃子には、トマトソースとパクチーが絶妙にマッチしました。この組み合わせにはロゼワインがオススメ。マスタードソースなら赤ワインもおいしいです。
が、マスタードソースがあるなら、やっぱりビールも合わせたいよね? ということから、ビールが出てきました!
アメリカのクラフトビールの老舗、アンカー社の季節限定ベルギースタイルビールで、レモングラス、レモンピール、ジンジャーが加わっています。レモン風味が爽やかながら、アルコール7%とほどよいボディがあり、食中酒としてワイン的に楽しめるタイプ。このビールなら、ラム肉餃子+マスタードソースでもイケますが、餃子にレモンを絞り、サッパリいただくのもオススメです。
パクチー多めで山椒&黒七味を付けると、白ワインのリースリングとも素敵なマリアージュになり、トマトソース&パクチーの組み合わせにビールを合わせても美味。ポイントはパクチーでしょうか。
シメは、パクチーがたっぷりのったホタテとチキン出汁のフォー。スープがじんわりと身体に沁み込み、ほっとします。ここで滋味な味わいのロゼワインと合わせてみたところ、見事に合いました。
餃子は、肉や魚介類の餡を小麦粉の皮で包み、焼いたり、蒸したり、茹でたりする料理です。焼くとカリッとした食感になり、うま味の余韻が強め&長めになります。焼き餃子に合わせるなら、輪郭のクッキリした、余韻が長めのワインがいいでしょう。ただし、タンニンがガッチリした渋みの強い赤ワイだとワインが勝ち過ぎるので、全体の力のバランスを考えながら選びたいですね。つるりとした食感の水餃子なら、しっとりとしてやさしいタイプのワインが合うと思います。
また、餃子は、ソースで食べさせるフランス料理のように、ソースや付けダレをアレンジすることで、さまざまなタイプのワインに合わせられる、ということも押さえておきましょう。
「マリアージュは人によって違う。自分の方向性を考えることが大事。そういう機会を大切にして欲しい」と田中ソムリエ。
ワインと食とのマリアージュは、他人の意見はさておき、あれこれチャレンジしてみると面白い発見があると思います。特に、庶民派の代表「餃子」がお相手の場合は、自分が納得のいくまで何度でもチャレンジしても、懐が痛まない点が素晴らしいと思います(笑)。
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(取材・文/綿引まゆみ)
ワイン専門誌や料理系雑誌での記事執筆をはじめ、日本ソムリエ協会webサイトのコラムなどを執筆。ワインセミナー、トークショー、海外のワインコンクール審査員など、幅広い活動を行なっている。チーズプロフェッショナル、ビアソムリエ、コーヒー&ティーアドバイザーの資格も所有。スイーツ好き。