「PLEN Cube」は一辺約7.5cmのキューブ状のロボット。上半分は4個のサーボモーターによって360度回転&上下し、一見無機質なデザインですが、小動物のようなキュートな動きを見せてくれます。ヘッドに内蔵のカメラはFullHD画質の静止画、HD画質の静止画が撮影でき、顔認識によるトラッキングも可能。
さらに、高精度の音声認識を実現する4個のマイクや、スピーカー、赤外線センサー、2.2インチのディスプレイ、Wi-Fi、Bluetoothもコンパクトに集約。声とジェスチャーで指示するだけで、SNSや各種Webサービスを利用したり、家電をコントロールすることもできる優れモノです。
今年2月21日から米クラウドファンディング「KICKSTARTER」でプロジェクトをスタートしたところ、目標金額5万ドルをわずか3日で達成。最終的には8万1243ドルを獲得し、2017年末の本格販売が予定されています。
そして今回、満を持して日本語版の製品化プロジェクトが国内クラウドファンディング「Makuake」でスタートすることになったという訳です。
■1人に1台を目指す「パーソナル・アシスタント・ロボット」
開発元のPLENGoer Roboticsは、日本で10年以上も小型ロボットを開発してきた株式会社プレンプロジェクトと、中国でトップクラスの生産技術を持つGoertek,Incのジョイント・ベンチャー。
プレンプロジェクトは、オープンソースで3Dプリントが可能な二足歩行ロボット「PLEN」が代表的な製品ですが、今回の「PLEN Cube」にもそのノウハウが活かされています。シンプルなデザインで動きによって愛らしさを感じさせるテイストも踏襲されているように思えます。
発表会では、まずPLENGoer Robotics代表取締役社長の赤澤夏郎氏が登場し、プレゼン映像も上映。アウトドアでの活用、スケートボーダーが自身を追尾させての動画撮影、ホームパーティーで音楽を再生させて楽しむ様子などが紹介され、「PLEN Cube」の使用シーンがイメージできました。
続いて、中国出身のソフトウェア・エンジニア、Haisong Dong氏がデモンストレーションを行いました。「PLEN Cube」は「IFTTT」などの各種Webサービスと連結することで様々な機能を提供する仕様で、家電操作のデモも予定されていたものの、肝心のIFTTTサーバが運悪く不調で割愛され残念!
しかし、その他のデモは問題なく進み、写真撮影デモでは「Take a photo」の声を認識して写真を撮影しTwitterに投稿。顔認識のプログラムは本体実装前でカメラ搭載ノートPCを使用して行われましたが、良好な追尾性が確認できました。現状では採用されていないそうですが、個人ごとの顔認識も次期モデルでは搭載予定だそうです。
続く質疑応答の時間には各メディアから多くの質問が飛び、関心の高さが伺えました。モバイル性を重視しつつも繊細な稼働を仕込んでいるとのことで、気になるのは “耐久性”の問題。ということで筆者も質問させてもらったのですが、赤澤社長いわく
「スマートフォン準拠で90cmの高さから落としても壊れない、というのがひとつの基準。しかし、動いている最中に落ちたらどうなのか、という問題もある。新しいタイプの製品なのでそうした指針も自分たちで作っていくことになると思います」とのことでした。
その他、現状はWi-FiとBluetoothのみでLTEなどのモバイル通信機能がないことについても「次期モデルで考えている」とのこと。まずは今回のモデルを第一弾としてリリースした上でシリーズ化し、市場のフィードバックも得て段階的に高度な機能を搭載していく構想のようです。
なお、「PLEN Cube」のCPUはIntel ATOM 5700 or 5500、OSはLinux Ubuntu Coreを搭載。バッテリーはリチウムイオンでUSB充電式で、連続稼働時間は約4時間(ライブストリーミング等では60分程度)とのこと。