2日間にわたった今回のテストドライブですが、往路はソフトトップ仕様のロードスター RS、復路はロードスター RF(以下、RF)のRSをドライブしました。
つまり両車とも、それぞれのモデルを象徴する最もスポーティなグレードだったのですが、そもそも現在のラインナップは? という疑問を整理すべく、まずはソフトトップ仕様とRFのグレード展開について、簡単に紹介しましょう。
◎ロードスター(ソフトトップ仕様)
☆エンジン:1.5リッター DOHC(SKYACTIV-G 1.5)
S:6速MT
Sスペシャルパッケージ:6速MT/6速AT
Sレザーパッケージ:6速MT/6速AT
RS:6速MT
◎ロードスター RF
☆エンジン:2リッター DOHC(SKYACTIV-G 2.0)
S:6速MT/6速AT
VS:6速MT/6速AT
RS:6速MT
両モデルとも、スポーティさを前面に押し出したグレード=RSを筆頭に、レザーシートなどで快適さと上質さにこだわったラグジュアリーグレード(Sレザーパッケージ/VS)、そして、ベースグレードという、大きく分けて3つのキャラクターが用意されています。
中でも今回は、ロードスター、RFともにRSグレードをセレクトしましたが、両モデルにおける気になる違いはというと…。最高出力に27馬力の差があることと、車両重量がロードスター=1020kgに対し、RF=1100kgと80kgもRFの方が重くなっていること。そしてタイヤサイズは、ロードスターが195/50R16であるのに対し、RFは205/45R17と1サイズ大きくなっていること、くらいでしょうか。
その辺りを気にしつつ、まずはソフトトップ仕様のロードスター RSで、横浜の市街地をスタート。高速道路を経由して箱根へと向かいます。
車重約1トンとはいえ、131馬力では物足りないかなとも思いましたが、7000回転まで軽く回るエンジン、短いストロークと滑らかな感触の6速ギヤボックスの組み合わせは、実に秀逸。信号からのスタート、街中のちょっとしたコーナー、高速道路での追い越しなどあらゆるシーンで「あぁ、クルマを操るってこういうことだよね!」と実感させてくれる、爽快さや軽やかさが備わっているのです。
もちろん、そうした感覚を最も堪能できるのは、ワインディングロードでしょう。シャーシ関連の装備はグレードにより異なりますが、RSではビルシュタイン製のショックアブソーバー、トルセン式LSD、前後スタビライザー、フロントサスタワーバーが標準装備となる辛口仕立て。とはいえ、サーキット志向のスポーツカーとは異なり、「スポーツカーは初めて」という方でも、十分にドライビングの楽しさを感じることができる、懐の深さを備えています。
例えば、山道を軽く流すといったシチュエーションであっても、スピードに関係なく、シフトダウンひとつにしても、ステアリング操作ひとつにしても、ドライバーのアクションをリニアに反映するRSは、高い満足感を得られます。
また、RSには吸気音を増幅し、コクピット内に伝える“インダクションサウンドエンハンサー”が備わりますが、これもクルマとの対話を楽しむ上で、想像以上の効果を発揮しています。
オープン走行では、どうしても周囲の騒音や風切り音がコクピットに侵入しますが、アクセル操作にシンクロする、歯切れ良く心地よい吸気音によって、車外からの雑音もさほど気にならず「これぞスポーツカー!」という一体感を味わうことができました。