さて、翌日の復路は、RFで伊豆の山道、高速道路を経由して横浜を目指します。
RFのシートに収まって真っ先に感じたのは、ボディのガッシリ感。これは、ハードトップを閉じた状態でしたから、心理的な安心感もその理由のひとつかと思いますが、オープンの開放感を望むユーザーがいる一方、クローズドボディの包まれ感を好む方も少なからずいらっしゃるのではないか、と思います。
実際、ルーフを閉じた状態では、高い耐候性や実用性を実現していますし、車外の騒音もしっかり遮断されており、2ドアクーペとして十分な快適性を備えています。
また、ルーフを開けた状態ではコクピットに程よく風を導きつつ、風切り音を低減するようリアピラーの設計を工夫するなど、細部にわたり実に入念な開発を行ったそうです。
では、RFならではの個性や美点は、この電動開閉式ルーフだけなのでしょうか?
もちろん、答えはノーです。排気量プラス500cc、最高出力プラス27馬力という、パワーユニットのアドバンテージもさることながら、RFの走りはソフトトップ仕様とはやや性格が異なります。
例えば、アップダウンが続く山道や高速道路でも、2リッターエンジンのゆとりあるトルクを生かし、アクセル操作だけで通過できる、といったシチュエーションが少なからずありました。「エンジンをレッドゾーン手前までブン回してシフトチェンジ!」というのもスポーツカーらしい楽しさではありますが、じわりと右足に力を込め、ゆとりあるトルクを生かした加速感を味わうというのも、このRFならではの楽しみ方なのでは? と思います。
とはいえ、RFは活発じゃないのか? といえば、トップエンドの伸びこそ1.5リッターエンジンに譲りますが、5000回転辺りまでの反応は十分すぎるほど俊敏ですから、積極的にシフトレバーを操ってワインディングを楽しみたいという向きもご安心を。
一方、フットワークについては、軽やかなソフトトップ仕様に対し、RFは重厚とまではいわずとも、しっとりとした感触です。80kgの重量増は乗り心地においてプラスに作用しており、高速道路での長距離クルーズにおける快適性は、一枚上手といえるでしょう。
さて、2日間で合計500km強を共にしたロードスターとRFですが、よくぞここまでクルマのキャラクターを作り分けたな! というのが正直な感想です。ドライビングの楽しさを純粋に追い求めたロードスター、スポーツカーとグランツーリズモを巧みに両立したRF。ひと目ぼれ&指名買いもアリだとは思いますが、いずれかのモデルを購入検討中なら、乗り比べは必至だと思います。
<SPECIFICATIONS>
☆ロードスター RS
ボディサイズ:L3915×W1735×H1235mm
車両重量:1020kg
駆動方式:FR
エンジン:1496cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6速MT
最高出力:131馬力/7000回転
最大トルク:15.3kg-m/4800回転
価格:319万6800円
<SPECIFICATIONS>
☆ロードスター RF RS
ボディサイズ:L3915×W1735×H1245mm
車両重量:1100kg
駆動方式:FR
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6速MT
最高出力:158馬力/6000回転
最大トルク:20.4kg-m/4600回転
価格:373万6800円
(文&写真/村田尚之)
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