最近のメルセデスは、SUVだけにとどまらず、コンパクトモデルのラインナップ拡充にも精力的。GLAは、まさに今、メルセデスが力を入れているコンパクトカーとSUVのクロスオーバーカーで、同ブランドを代表するコンパクトカー「Aクラス」をベースに、全長4430㎜、全幅1805㎜、全高1015㎜(「GLA 180」の数値)と、スリーサイズを少しずつ大きくしたジャストサイズのモデルです。
2013年のフランクフルトモーターショーで発表され、2014年から日本国内でも販売が始まったGLAですが、大注目のコンパクトSUVであることや、ほかのメルセデス各車に比べると比較的リーズナブルなプライス、そして、メルセデスならではのブランド力やユニークのプロモーションなどあって、他ブランドの車種から乗り換えるオーナーも多いのだとか。ちなみに、日本におけるGLAの累計販売台数は、1万4000台とということですから、セールス自体もなかなか好調です。
とはいえ、コンパクトSUVのカテゴリーは今、とても激戦区。2017年に限っても、日本ではフォルクスワーゲンが「ティグアン」をモデルチェンジし、アウディが「Q3」よりひと回り小さい新型の「Q2」を導入してSUVラインナップを拡充。さらにBMWは、MINIブランドのMINI「クロスオーバー」をモデルチェンジするなど、輸入車のコンパクトSUVは大にぎわい。それだけに、セールス好調のGLAといっても気は抜けません。
今回のマイナーチェンジで最も変わったのは、フロントマスクでしょう。グリルに四角い穴の開いた“パンチドグリル”を採用するなど、見た目のインパクトは絶大です。また、アンダーガードをデザインのモチーフにすることで、よりSUVらしさをアピール。
さらに、リアのコンビネーションランプに導入された“クリスタルルック”は、新型「Eクラス」に設定されているものと同タイプ。人々の視線を惹きつけます。
ラインナップでは、ガソリンエンジン仕様に、燃費性能に優れた4輪駆動モデル「GLA220 4マチック」を新たに追加。今回はこちらを、ハンガリーの試乗会場に設けられたオフロードコースでドライブすることができました。
コースは、全体的に道幅が狭く、その中に急こう配がいくつも点在するアドベンチャールート。GLAはSUVとはいえ、乗用車に近いルックスだけに「こんなハードなコース、走破できるの?」と、一瞬、不安を覚えました。でも、センターコンソールにあるスイッチを押して“オフロードモード”に設定し、アクセルとブレーキを制御して低速時の車速を自動調整する“DSR(ダウンヒル・スピード・レギュレーション)”を利用すれば、あとはハンドル操作に専念するだけ。難なくハードなコースを走破できたのです。GLAの悪路走破力、あなどれません!
さらに心強かったのが、今回新設定された“360度カメラ”。コックピット中央のディスプレイに車体の周囲の状況を映し出してくれるので、今回のような狭いオフロードコースでは、効果絶大でした。
そして公道では、もう1台、メルセデスAMG「GLA45 4マチック」をドライブすることができました。今回のマイナーチェンジで特に目に付くのは、新しいデザインのフロントマスク。フロントエプロンなどが縦型になり、新型のエアインテークグリルで迫力満点。こちらは見た目だけでなく、実は空気抵抗を減らす効果もあるのですが、とてもクールでシャープな印象に仕上がっています。
GLA45が積む2リッターの4気筒ターボエンジンは、381馬力とクラストップレベルのパワフルさ。さらに、組み合わされる“AMG スピードシフトDCT 7速スポーツトランスミッション”は、滑らかにシフトアップ/ダウンし、1650kgと軽くはない車体を強力に加速させてくれます。変速とそれに伴う加速のフィーリングは、まるで、テニスで気持ちよくボールがラケットに当たり、リズミカルにラリーを続けている時のような、小気味よくて爽快なもの。
さらに“ダイナミックセレクトスイッチ”で「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツ+」、サーキット走行用の「レース」といった具合に、エンジンやサスペンション、ステアリングの特性、さらにエンジンサウンドなどを変えられるので、好みやシーンに応じて、どんな場面でもGLA45の走りを余すところなく楽しめることでしょう。
すでに、ベーシックグレードのGLA 180、GLA250 4マチック、ハイパフォーマンス仕様のメルセデスAMG GLA45 4マチックは、日本市場での販売がスタート。新設定のGLA 220 4マチックだけが、2017年秋に上陸の予定です。ちなみに、今回の試乗会で私が最も気に入った360度カメラは、GLA 220 4マチックと同じタイミングで、日本市場に導入されるようです。
(文/吉田由美 写真/吉田由美、メルセデス・ベンツ日本、ダイムラーAG)
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