隣に地球連邦軍のヒーローこそいませんが、レヴォーグのアイサイトは、以前、レガシィで試したVer.2から、ニュータイプのVer.3へと進化を遂げています。
レヴォーグ自体の第一印象は、実にスポーティ。改めてレヴォーグを前にすると、大きくなり過ぎたといわれていたレガシィ ツーリングワゴンに比べ、確かに引き締まった印象があります。車高も低くなってスタイリッシュですね。
気分良く駐車場を後にし、街に出ました。自動車専用道に入り、さっそくアイサイトVer.3を稼働させることに。
人間の眼のように、アイサイトのカメラは左右にふたつ。Ver.3では、カメラが色を認識するようになり、視野角は広がり、認識距離も延びました。人間もクルマも、視野の広い方が頼れるのは間違いありません。
アイサイト自慢の機能“全車速追従機能付クルーズコントロール”を稼働させると、さっそく前を走るクルマを認識。車間距離を保ちながら追従してくれます。Ver.2では、これだけでも感動ものでしたが、今では珍しい機能ではなくなりました。間違いなくスバルが先駆者ではありますが…。
進化の一端を感じたのは、Rの強いカーブでのこと。Ver.2なら前車を見失ってしまうような状況でも(実際、Ver.2を積む「クロスオーバー7」はロストしました)、レヴォーグはつつがなくチェイス。スムーズに追走するのです。カメラがカラーを認識し視野角が広がったことが、確実に効いているようです。
そのまま追走し、前のクルマが完全に停止してしまうシーン。Ver.3は制御がきめ細かくなっているためか、完全停止までのブレーキングにエマージェンシーの香りがしないのです。どういうことかと申しますと、Ver.2は追従する前車への接近する際「ドライバーに代わってクルマを止める」という印象がありました。それに対してVer.3では「もっと主体的にクルマを止めていく」印象です。任せておきなさい! といった安心感があります。
その結果、アイサイトVer.3の減速、停止はとてもスムーズ。Ver.2がワンテンポ遅れて「ガガガッ」と止めていたところでも、スムーズに「スー」と止めてくれるのです。まるで若葉マークと熟練ドライバーとの差みたいに。この洗練された所作に、軽く感動しました。
ちなみに、アイサイトVer.3では、完全停止した状態を保ってくれます。前方のクルマが発進したら、スイッチを押すか、アクセルペダルを踏むことで、再び発進する制御に変わりました。ここは使いやすい変更だと感じました。
うっかり車線を跨ぎそうになると、ステアリングに補正舵を与える“アクティブレーンキープ”などの機能もあり、Ver.3って自動運転の一歩手前では? と思わされる未来感があります。
同時に、アイサイトには自動運転に欠かせない、クルマと乗員の良好な関係が育まれている気がします。分かりやすくいえば、ドキドキ不安にさせられる自動運転など、誰も望んでいないはず。スバルが溜め込んできたノウハウ(=乗員の心地良さ)が、来るべき自動運転にもきっと活かされることになるのでは…、と確信させられました。
最新のレヴォーグについていえば、これだけの安全技術にクルマの動きを委ねながら、快適さが着実に熟成されています。希少な国産スポーツワゴンの雄は、その点が大きなアドバンテージになっていると思います。
<SPECIFICATIONS>
☆1.6GT-S EyeSight
ボディサイズ:L4690×W1780×H1490mm
車重:1550kg
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:1599cc 水平対向4気筒ターボ
トランスミッション:リニアトロニック(CVT)
最高出力:170馬力/4800-5600回転
最大トルク:25.5kg-m/1800-4800回転
価格:305万6400円
(文&写真/ブンタ)
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