■クリアによる光沢仕上げ
第3回の「デカール編」でカウリングにTZRの特徴でもあるストロボラインのデカールを貼りました。白いカウルに赤いラインが入ったことで、ぐっとTZRの完成が見えてきた感じですね。
今回は仕上げとして、デカールを貼ったカウリングなど外装パーツにクリアを使いオーバーコート塗装をおこなっていきます。デカールを貼った状態でも雰囲気は悪くありませんが、カウリングをピカピカな光沢仕上げにすることで、よりリアルな仕上がりを得られます。
クリア塗料は、キットで指定されているMr.カラー「C46 クリアー」をはじめ、各社から発売されています。今回は、より光沢と塗装後の塗膜が強いガイアノーツExシリーズの「Ex-03 Ex-クリアー」を使用し、エアブラシで塗装しています。
POINT1:クリア塗装のキモは希釈にあり!
「クリアを塗装したのに光沢が出ない」「エアブラシを使ったクリアの塗装面がザラザラになってしまう」というトラブルをよく聞きます。その原因は、塗料の希釈不足です。エアブラシ塗装は、使用する塗料に応じて専用の溶剤(シンナー)で希釈して使用します。
Mr.カラーのクリアであれば塗料1:溶剤1の希釈が一般的ですが、クリアによるオーバーコート塗装では、より塗膜が平滑な “鏡面仕上げ” を求められるため、さらに希釈する必要があります。今回使用した「Ex-03 Ex-クリアー」の場合、もともと濃度が濃いので、塗料3:溶剤7まで希釈しないと、平滑な塗装面が得られません。
光沢を出すためのクリア塗装のはずが、希釈が足りないと塗装面がゆず肌(塗面がみかんの皮のように凹凸になる現象)になってしまいます。これではクリア塗装の意味がありません。適切な希釈であれば均一な塗装面が得られます。
POINT2:一度の厚塗りはNG!
クリア塗装は、薄く3~4回に分けて塗装→乾燥→塗装と重ねていくのがポイント。一度にドバッと吹き付けてしまうと塗料が流れてしまったり、デカールが溶けたり、シワが入るといったトラブルの原因になることがあるので注意が必要です。
POINT3:コンパウンドを使ってさらに光沢をアップ!
クリアによるオーバーコート塗装を完全に乾燥させたら、さらに塗装面を鏡面仕上げにするため、コンパウンド(研磨剤)を使って塗装面を研ぎあげていきます。今回は、タミヤ製コンパウンドの「粗目」と「仕上げ目」の2種類を使用しました。
コンパウンドは研磨剤、要はキメの細かい液体状のヤスリです。このコンパウンドを使い研磨することで、クリア塗装面の微細な凹凸を削り、均一に整え、より平滑な仕上がりを得られます。ただし使いすぎは禁物。先にも書いたように、液体状のヤスリです。塗膜が薄いパーツのエッジ部分などは、塗膜を削り落としてしまうことがあるので注意が必要。コンパウンドによる研ぎ出しが終わったら、さらに模型用のコーティング剤でパーツを磨いて仕上げます。
POINT4:乾燥は最低でも24時間。その間に細部パーツの取り付け
クリア塗装は、常温であれば最低でも丸一日、できれば3日程度は乾燥させます。この乾燥時間を利用して、パイピングやステップ類といった細部パーツを取り付けていきます。
キットは、メーターがデカールで再現されていますが、デカールを貼った上から水性アクリルのクリアを垂らすとガラスのような、よりリアルな仕上がりになってくれます。
■カウルを付けてから、ステップ・ミラーを装着
キットのインスト(説明書)では、ステップ類等のパーツを組んでからカウルの取り付けが指示されていますが、折損しやすいので先にカウルを車体に取り付けてからステップ類を取り付けるようにします。ミラーも同様で、アッパーカウルを車体に取り付けたのち接着することで破損が防げます。
■これが長谷川迷人作「YAMAHA TZR250(1KT)」
今回製作した「YAMAHA TZR250(1KT)」は、ハセガワの最新キットということもあり、エンジンをはじめ足回りなどが細かく再現されています。それだけに製作は手がかかりますが、完成するとリアルなディテールを楽しめます。バイクオーナーならば1/12の実車を組んでいるような、バーチャル感を感じられるでしょう。
ハセガワはTZRに続いて、同じく80年代に人気を集めたカワサキKR250のキット化を発表しました。これを機会にバイクプラモに是非挑戦してみてください。
>> 達人のプラモ術
<写真・文/長谷川迷人>
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